居酒屋「しゃもり」 島田駅から
伊太和里温泉へ向かう途中の場末の酒場だ
引き戸を開けると おじさん客と
夫婦の客がカウンターで話していた
その真ん中があいていて そこに座った
カウンター8人 テーブル12人の小さな店
客のひとりは近くの常連客のようだ 夫婦は
広島にお好み焼きを食べるためだけに行ったと話した焼津の人
最近こういう人によく合う 子どもが成長して 遊んでもらえなくなった
老いた夫婦の楽しみは 食べ歩きかもしれない
餃子 焼きそば おでん モツ 油揚げの納豆詰め 半熟玉子の豚ゴボウ
テーブルに予約の札が置いてあった 客が来ぬうちにと一気に注文した
他には ライス おにぎり ラーメン トマトスライス オニオンスライス など
ごく普通メニューが並ぶ 昼も営業するので昼食にも寄れる
値段も1コイン以上のものはないので安心して食べれた
日本酒は 普通酒と 島田の銘酒「女泣かせ」だけだった
「女泣かせ」をコップの受け皿にこぼれるくらい注いだ
水ももらって 交互に飲んだ
感じのいい若い衆が嫁さんと二人で働いている 母親から受け継いだらしい
母親この日は店にはいなかった 梅干し作りが忙しいそうだ
その梅干しも評判が良くて 店にも梅干しを買う客が来た
餃子の評判がいいので寄ってみたのだが 噂どうりだった
「河屋」のようにバリっとした羽はないが
しっとりとしていてなかのキャベツが甘い
初めに空腹で食べた 一通り他のものも食べて腹が収まってから
最後に締めでまた食べた 満腹の時のほうがおいしく感じた
赤ん坊連れの家族などもきて 店はいつしか満員になっていた