仕事好きの妻は弁当を詰めて職場に向かった
仕事嫌いの私は ついでに弁当を作ってもらって家にいた
今日一日何をしようか考え外をうろうろしていた
その時だったガシャンという大きな音とキキキーという音
焦げくさい 軽のバンが猛スピードで家の取り付け道路を横切った
そして隣の塀の基礎に当たる寸前で止まった 奇跡だ
3人が車の中に乗っている 運転はおばあさん
見ると往還のガードレールがつぶれてる そこに当たった
それでここまで飛んできた 塀までの隙間は指2本
ちょうど対向車もなく単独事故で加害者もない
乗客全員無事 なんと強運な人だろう 聞くと海の方からやってきた
山が珍しくてわき見運転でもしたのだろう 荷物もいっぱい積んでいる
ケータイも持っていないので 私が警察や保険会社へ連絡した
そこに通りかっかった非番のお巡りさんが検分を始めた
地元の交番の巡査は 今月赴任してきたばかりの若いおまわりさん
道に迷いながら遅れてやってきた 非番のおまわりさんは
検分が終わってからも荷物の積み替えも手伝っていた
なんともやさしいおまわりさんだ それを地元の巡査に言うと
「ぼくもあのひとのような警察官になります」という
「頑張れよ」とエールを送った あどけない笑顔が可愛いかった
レッカーがやって来て車を運んで行った 3人が取り残された
最寄りの駅から家まで帰るには乗り継ぎで半日以上かかる
私が海辺まで送ることにして また善人を演じてしまった
その人の家は屋根が五重になった立派な家だった
帰りに野菜などと一緒に ガソリン代をくれるという
「そうですか」と素直に受け取ってしまった
修行が足りないのか善人も最後まで演じられない
というか 欲望の本性がすぐにあらわれてしまう
今日はこの後 近所のお通やがある そのために
どこにもいけない中途半端な時間になってしまった
道沿いの家電店をのぞいた なんとびっくり
昨日初めて会ったゼンペイサンにまた会った 連続2日奇遇だ
奇跡 強運 善意 優しさ 笑顔 欲望 奇遇 弁当の話がそれて
そのことは何を書くつもりだったか思いつかなくなってしまった
暇な時間があったから人のやさしさに気づかせてもらった
とでも書きたかったのか しら