写真家の秋田好恵さんから手紙が届いた。封を切り中を開けるとお手紙と一緒に写真展の案内ハガキが同封されていた。秋田好恵さんは女流写真家として一時代を築いた人で20回近い個展を東京、名古屋、京都、大阪、鹿児島、ニューヨーク等で開催され、現在も日本写真家協会会員、日本肖像写真家協会会員、写真学校講師や各種写真コンテストの審査員も務めています。私も独立前に一緒に仕事をさせ頂き、その人柄に大変好感を持った事を覚えています。また秋田好恵さんのご主人は日本広告写真家協会副会長も務めた事のある故・秋田淳之助さんと言う大御所写真家でありましたが残念ながら2009年にご病気でお亡くなりになっています。この秋田淳之助さんとはいろいろな仕事を沢山させて頂き、港区・白銀にあったスタジオGTには良くお邪魔していましたしプライベートでもバーベキュー等でもご一緒していました。実は今回のお手紙の内容はこの秋田淳之助さんに関するものでした。秋田好恵さんのお手紙には「私の夫、秋田淳之助は2009年に病に冒され瞬く間に逝ってしまいました。その後は何一つ手つかずにおりましたが、一年程前、遺品の中に8x10で撮った「原霊樹」のファイルを見つけました。コメントまで付けられ、本人の中では完成をみていたようなのです。プレゼンテーションも出来ぬままに命尽きた無念を思うと「これは私に託されたもの。絶対に個展をしますからね」と誓わずににはいられませんでした。何故、ガジュマルの樹に惹かれたのか。何故、余命を知って尚、命を削りながら撮影の旅を続けたのか。彼の思いをもう一度聞きたい。昨年末奄美を訪れ、全てを巡ることは出来ていないかもしれませんが、できる限り作品と照らし合わせながら、一歩も違わぬカメラポジションに立って見ました。そこには形や大きさだけでなく、不滅の命に対する畏敬の念を感じざるを得ませんでした。そして、ようやく淳之助の思いに重なり合えたと感じられたのです。この写真展を憧れのギャラリーで開催し、多くの方々にご高覧頂けることは、二人にとって至上の喜びです。 秋田好恵 」とあった。そう、この写真展は秋田淳之助さんの遺作写真展なのです。8x10インチカメラを担ぎ奄美大島のガジュマルの風景を足掛け3年もかけて撮影したものだったのです。ワイズオフィスの壁には秋田淳之助さんが撮影した太陽の写真が飾ってありますが在りし日の秋田淳之助さんの顔と重なって見えます。写真展は昨日から始まりました。皆様是非会場に足をお運び下さい。
秋田淳之助写真展「原霊樹 (奄美のガジュマル)」
2013年6月19日~7月2日
銀座・ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1 STRA GINZA ニコンプラザ銀座内
03-5537-1469
8×10での撮影大変だったでしょうね。是非見にいくつもりです。