活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

沼津市明治資料館で印刷物拝見

2010-12-27 09:15:42 | 活版印刷のふるさと紀行
 私の手元に樋口雄彦著『旧幕臣の明治維新』沼津兵学校とその群像(吉川弘文館)があります。著者略歴に樋口さんはかつて沼津市明治資料館の学芸員をされていたとあります。
 印刷のことでさっそくその明治資料館を訪ねることにしました。イケメンでソフトな感じのいまの学芸員木口亮さんが4階の沼津兵学校の教科書展示コーナーにご案内くださいました。
 
 沼津兵学校で使われた教科書は沼津で刊行されたといいます。「沼津版」というそうですが、私には初耳でした。
 1858年(安政5年)に蕃書調所のなかに「活字方」を設けたのが幕府の印刷への取り組みの最初で、オランダから輸入した活字やスタンホープの手引印刷機で『英吉利文典』などが印刷されたことは知られていますが、沼津版はその流れをくんでいるようです。樋口さんによると沼津版には沼津学校で刊行したものと渡部温刊行の無尽蔵版の2種類があるといい、事実、展示も区分してありました。
 
 『筆算訓蒙』・『野戦要務』・『兵学程式』・『英国史略』・『英文伊蘇普物語』などが沼津版であるとされていますが、『野戦要務』と幕府陸軍所刊行の大鳥圭介本、『伊蘇普物語』ときりしたん版のイソップ物語の関係など個人的には調べてみたい興味をかられました。また、沼津版や無尽蔵版のうち、アルファベットもの5種はオランダから幕府に献上されたスタンホープが、蕃所調所から洋書調所、洋書調所から開成所になった幕府の印刷所から運ばれたといいいますがこれも調べてみたいと思いました。
 
コメント
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