活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

西暦と元号の表記

2013-09-08 16:23:17 | 活版印刷のふるさと紀行

 朝早くからオリンピックの開催が日本にきまって2020年の大合唱です。それは大変結構ですが、私なんか、こんなにモノゴトが西暦だけで通用するのはめずらしいなと思ってしまいます。

 といいますのは、私のように古い時代のことを書くことが多いと、ついつい西暦と元号を併記するのが習い性となっております。元号というよりも邦暦といった方がいいでしょうか。たとえば、日本で最初にグーテンベルク方式で金属活字を使う印刷がされたのは、1591年(天正19)みたいにです。歴史小説などでは元号が主でときに西暦が入っていることもありますが、作家によってそれぞれのお考えをお持ちのことからでしょう。

 元号は平安時代ぐらいから天皇の即位とともに新しくなるのが普通になったようですが、それでも地震のような災害が起きたからとか、黒船が来たからとかいうような特異な社会現象で変更されることがあったようですから一概にはいえません。明治天皇のひとつ前、孝明天皇のときのように弘化・嘉永・安政・万延・文久・元治と7回も変更になっている例さえあります。

 2020年ごろはどうなっているかわかりませんが、いまの世の中では西暦・元号併用がまだま幅をきかせていますし、ちょっと奇異なのは「運転免許証」がいい例で、官公庁ではまだ平成25年などと使われ、西暦はお目にかかれません。ならば、区役所はと思って「健康保険証」を改めて見ましたら、これも元号表記オンリー。さすがにパスポートは西暦表記ですが。

 ついでにといってはなんですが、400年以上も前に日本人コンスタンチノ・ドラードが印刷した『マルチノの演説』に「ご降誕以来1587年6月4日…」とあります。キリシタンだからといえばそれまでですが、それから日本で印刷されたキリシタン版にはご降誕以来として発行年が西暦表記されております。

 私はこれからも執筆上は西暦・和暦表記は続けます。そのほうが読者も時代把握が容易のような気がするからです。昭和人間のせいでしょうか。それより、2020年、オリンピックの年、運免許証や健康保険証に西暦表記はされているでしょうか。若い人の頭の中ではたして西暦と元号が同居しているかどうか知りたく思います。

 

コメント
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