活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

『銀座百点』とウエスト

2014-01-26 17:52:15 | 活版印刷のふるさと紀行
 人間、気の向くまま、行動してしまう日があるものです。今日がそんな日でした。歯科医院を出て市ヶ谷の大日本印刷の工事現場を抜けてみました。おそらくあと、4~5年もしたらこの大がかりな再開発で加賀町の一角に昔の印刷工場の面影を見ることはできなくなるでしょう。

 駅前から都バスで新橋へ。私が一番好きな路線です。さすがに国会周辺も冬枯れの木立ちだけが目立ってさみしい感じでした。それよりも震動で車内を転がって音をたてるジュースの空き缶を捨てた人が気になって仕方がありませんでした。


 昼過ぎでしたが、まっすぐ天ぷらの「天国」をめざしました。サラッとした関西風よりも濃厚な江戸風が私の好み、とくにかき揚げに目がありません。勘定のときもらった『銀座百点』を握りしめたまま電通通りに移ってなにげなく通り過ぎようとした「ウエスト」の前で足がとまました。休日のせいか店の前に行列が出来ているではありませんか。

 ためらっていると中からウエイトレスさんが出て来て「お一人の方」というので並んでいる多くの人の視線を感じながら店内に吸い込まれてしまいました。
 ひさしぶりです。何十年ぶりです。昔、よく、アヴェックで(古いなあ)来たころとはすっかり変わった状景が目に飛び込んできました。あのころ白いピアノがありました。ありません。椅子席がびっしり並んだ豪華な喫茶店そのもの、店内に流れるベートベンやモッツアルトやショパンの最良質のステレオ音に聴き入っていた状景は今や幻です。ときどきそれらしきクラシックの音楽が切れ切れに聞こえますが、お客さんの会話で消し去れてしまいます。
 
 「あった」、昔と同じ白っぽい表紙の2つ折りのリーフレットを見つけて喜んだのですが、週ごとの演奏曲目が載っていた当時のものとは違いました。あのころはアート紙に圧のきいた活版刷りだったなと思い出しました。

 そして『銀座百点』を手にしました。こちらもご無沙汰ですが、あまり「おかわり」はないように見受けました。女性編集スタッフの方々と出張校正室でよく隣りあったものですが、おそらく今はかなりメンバー交代がされたでしょうと、これも思い出しました。そんなひとときを過ごして外に出たら都知事選の喧噪が渦をまいておりました。
コメント
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