印刷博物館ではじまった「ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ」-書物がひらくルネッサンス-でようやく1591(天正19)年に日本で印刷されたキリシタン版の『どちりな・きりしたん』と対面することができました。20年前、ヴァチカンで粘ったけれど見せてもらえず涙を飲んだホンモノが目の前にある感激。オープニングに来日された大司教さまや樺山館長はじめ印刷博物館のスタッフのみなさまに心から感謝。個人的にも忘れられない日になりました。
『どちりな・きりしたん』は最終展示コーナー「ヴァチカン貴重庫でみつけた日本・東アジア」にガラス・ケースにおさまっておりました。見開きの左が本文の冒頭ページ、右が銅版画の扉です。布表紙のはずですが、ガラス越しで確認できませんでした。424~5年前に島原の加津佐か天草の河内浦で印刷されたキリシタン版がせいぜい古書店で見られる戦前本程度の新しさに見えるのも不思議でした。
私がしばしば疑問をぶっけているこの大型活字の国字の鋳造についてはこうしてホンモノを見ても解明できるわけではありませんが、たまたま同じ日に手にした近畿大学中央図書館報『香散見草』2015 47号に森上 修先生がキリシタン版の国字鋳造について書いておられるのを読むことが出来たのも偶然ではない気がしました。
この展覧会は7月12日までです。