吉行 淳之介

2024年04月14日 | 小説 エッセイ

昨日の朝日新聞の「天声人語」を読んで、4月13日が吉行淳之介の誕生日ということを知った。
私は20代30代の頃、吉行淳之介の小説やエッセイを読んだ。
吉行淳之介の文章が肌にあった。
この人の人生に対する考え方が好きでしたね。

天声人語
吉行淳之介は、重さよりも、軽さを好んだ作家だった。1970年代にベストセラーになった随筆集『軽薄のすすめ』で、重厚さを「一も二もなく良し」とするような風潮に、苦言を呈した。「必要なのは重々しいコワモテ風の姿勢ではなくて、鋭い軽薄さである」
▼それから半世紀が過ぎた。人気作家が「カラカイと皮肉」を込めて発したという問いかけをいま、反芻(はんすう)してみる。この軽薄さに満ちた人の世で、あえて彼が重厚さを嗤(わら)ったのは、どうしてか
▼吉行は敗戦の1年前の夏、徴兵されている。20歳の学生だった。甲種合格の現役兵として、最前線に送られるのは間違いなかった。ところが、入営3日目に喘息(ぜんそく)がみつかる
▼急きょ除隊が許され、当然のように目の前にあった死が、パッと消えた。戦時下、人ひとりの生き死には、しごく軽く扱われる。やたら軍という権威がのさばる社会は重苦しく、硬直していた。彼はそれを滑稽な重さと表現した
▼かっこいい作家だった。軽妙洒脱(しゃだつ)でありながら、しっとりとした文章を書いた。三島由紀夫を評した「あれじゃ、疲れるだろうなあ」との一言にはうならされる。自分は「威勢のよい根性」ではなく、「ぐにゃぐにゃ根性」だと言っていた
▼きょう生誕100年。日に焼けて黄ばんだ文庫本を本棚から取り出し、ひとりページをめくる。いま読まれる作家ではないのかもしれないけれど、時代がかった物言いが勇ましく聞こえてくる昨今、その肩の力のぬき方が、妙に気になる。



昨日の天声人語はありがたかった。
忘れていたものを思い出させてくれた。
また吉行淳之介の小説を読んでみます。

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夢ノ町本通り

2024年01月23日 | 小説 エッセイ

今夜「夢ノ町本通り ブックエッセイ」(沢木耕太郎著 新潮社刊)を読み終えた。
よい本を読みました。
沢木耕太郎の本への気持ちがつまっているブックエッセイです。
この人の本に対する愛を感じました。
とくに山本周五郎に対する思いがすごかった。
私も20代の頃から山本周五郎が好きでほとんど読んできた。
こんどあらためて山本周五郎の小説を全部読んでみようと思った。
先日、私の町の図書館に山本周五郎全集があることを確認した。
今年は、山本周五郎を最初から読んでみます。

沢木耕太郎の子どものときからの読書量はすごい。
私なんて、19歳ぐらいからしか読書の習慣がないという、寂しい人間です。
そんなことを70歳を過ぎて反省してもしかたないですね。
これから少しでも多く本を読んでいきたいと思います。



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平岩弓枝「ちっちゃなかみさん」

2023年12月30日 | 小説 エッセイ

今日の10時頃からのウォーキングで、らじるらじるの聴き逃しで
〔ラジオ文芸館アンコール〕「ちっちゃなかみさん
作:平岩弓枝 朗読:出田奈々アナウンサ 
(12月25日(月)午前1:05放送 2024年1月1日(月) 午前2:00配信終了)を聴いた。
私は、平岩弓枝の小説を読んだことがなかったので、
どんな小説なのだろう?と楽しみに聴いた。

向島で三代続いた料理屋の一人娘・お京も二十歳になった。
両親はお京の縁談を心配するようになった。
娘に縁談のことを話すと、お京には決めた相手がいた。 
相手はかつぎ豆腐売りの信吉だった。
その信吉には、〝おかみさん〟のような人がいるようだった。

私は、ラジオの朗読を聴きながら何度も涙を流した。
いい小説です。
70歳を過ぎて私は、涙もろくなってしまいました。
これから平岩弓枝の小説を読んでみようと思いました。

私は、NHKの出田奈々アナウンサーの朗読が好きです。
ただこれは2024年1月1日(月) 午前2:00配信終了です。
YouTubeに2つの朗読がありましたので載せておきます。
ぜひ、「ちっちゃなかみさん」を聴いて下さい。

平岩弓枝作 「小っちゃなかみさん」 朗読 加賀佑治

【朗読】平岩弓枝「ちっちゃなかみさん」富永高敏・一人語り 33分




















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ハンチバック

2023年12月23日 | 小説 エッセイ

第169回芥川賞受賞作「ハンチバック」(市川沙央 著)を読んで私は、すごい小説だと思った。
ここ何年か芥川賞受賞作を読んでいるが、いつもがっかりしてきた。
しかしこの作品には打ちのめされた。
素晴らしい作品だと私は思った。
ハンチバック(せむし)状態で生きている女性。
先天性ミオパチーを患う主人公の思い。
ふつうの人の生活ができないで、生きている人の気持ちの叫びを感じた。
私の生きていて感じることなんて、まだまだ小さいと思った。

 

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三島由紀夫の「唐獅子牡丹」

2023年11月25日 | 小説 エッセイ

三島由紀夫が割腹前に高倉健の『唐獅子牡丹』を歌ったのはなぜか…
作家的表現を追求していたヤクザ映画に三島が見ていた「美学」
(集英社オンライン)

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/shueisha/trend/shueisha-175558


1970年の11月25日、私は高校3年生だった。
体育の授業が終わって購買部の前を通ったときに誰かが、
「三島由紀夫が死んだそうだ」といった。
私はその頃には、三島の小説を読んだことがなかった。
なので三島由紀夫のことは、何も知らなかった。
高校生のときに私は、ほとんど本は読んでなかった。
20歳になって東京で暮らすようになって、小説を読むようになった。
三島由紀夫の何冊かの小説を読んだ。
三島由紀夫の考え方などもある程度知った。

>軍刀と二振りの短刀を収めたアタッシュ・ケースなど必要な品々を携えて、
>楯の会の同士4人とともに車で大田区馬込の自宅を出発したのは午前10時過ぎ。
>それから環状七号線に出て第二京浜に入り、品川から中原街道を経て市ヶ谷の
>陸上自衛隊に向かった。

>だが時間が早すぎたのですぐに降りず、そこを二周することになった。その時
>に三島由紀夫が車内で、こんなことを口にしたという。

>「これがヤクザ映画なら、ここで義理と人情の『唐獅子牡丹』といった音楽が
>かかるのだが、俺たちは意外に明るいなあ」

>高倉健の『唐獅子牡丹』を歌い始めた三島由紀夫に合わせて、四人の声が車内
>に響いていった。

三島由紀夫はどんな気持ちで「唐獅子牡丹」を歌ったのだろう?

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心にすっと入ってきた文章

2023年11月07日 | 小説 エッセイ

>対人関係を堪え忍ぶことによって得られる果実は思いのほか小さく、
>ウマの合う相手と笑い合って過ごす時間がもたらす喜びの果実は驚くほど大きい。

この文章は、現在私が読んでいる「君がいないと小説は書けない」
(白石一文著 新潮社刊)の中の文章です。
この文章が今の私の心にすっと入ってきます。



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ウィズ・ザ・ビートルズ

2023年09月21日 | 小説 エッセイ

今日は妻が退院して初めてのリハビリの日だった。
妻は自分で玄関から歩いて出て(ドアとか壁など何かにつかまってだが)、
ワゴンRのボンネットに手を添えて歩き、助手席から車に乗れるようになった。
助手席は目一杯後ろに移動して、足を伸ばして乗らなければならなかった。
妻の左足は、頑丈なギブスで固定されているのです。
家から病院の駐車場には20分ほどで着く。
私は100mほど離れた病院の玄関に置いてある車イスを押して駐車場に戻って、
妻を載せて病院に入る。
リハビリの予約時間は14時25分、私たちは13時45分に着いてしまった。
妻のリハビリは、14時30分から始まった。

私はデイルームで本を読んでいた。
最近買った村上春樹の「一人称単数」(文春文庫)です。
この本を私はのんびり読んでいる。
新潟の旅に行くときに買った本です。
この本には8編の短編小説が載っている。

収録作
「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
「謝肉祭(Carnaval)」「品川猿の告白」(以上、「文學界」に随時発表)
「一人称単数」(書き下ろし)

今日、妻がリハビリをしているときに読み終えたのは、
「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」でした。
ここまで読んだこの本の中で一番好きな小説だった。

>一人の女の子のことを―かって少女であった一人の女性のことを―今でもよく覚えている。
>でも彼女の名前は知らない。もちろん今どこで何をしているかも知らない。僕に分かって
>いるのは、彼女が僕と同じ高校に通っており、同じ歳で(僕と同学年を表すバッジを胸に
>つけていた)、おそらくはビートルズの音楽を大事に考えていたということぐらいだ。そ
>れ以外のことは何も分からない。
(略)
>その翌年、一九六五年に起こった最も重要な出来事は、(略)僕に一人のガールフレンド
>ができたことだった。彼女とは一年生のクラスで同じだった。そのときは交際というほど
>のものはなかったのだが、二年生になってからふとしたきっかけでつきあうようになった。
(略)
>しかしいずれにせよ、僕は彼女たちと共にそれなりに素敵な、親密な時間を過ごすことが
>できた。彼女たちと良い友だちになることもあれば、もう少し親しい関係になることもあ
>った。彼女もそんな女性の一人だった―というか、もう少し親しい関係になった最初の一
>人だった。
>ちなみに僕と彼女が同じクラスだったときの担任の教師は、その数年後に自宅の鴨居から
>首を吊って死んだ。社会科の教師だった。思想の行き詰まりが自殺の原因だったというこ
>とだ。
> 思想の行き詰まり?

一九六五年の秋の終わりの頃、彼女のお兄さんと初めて会って話した。
その日曜日に、彼女の家に迎えに行ったが、彼女がいないでお兄さんがいた。

>そのようにして僕はその日曜日の朝、ガールフレンドの風変わりなお兄さんのために、
>芥川龍之介の『歯車』の一部を朗読することになった。
(略)
>その最後の一行は、「誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?」
>だった。それを書き終えてから、芥川は自殺したのだ。

結局、ガールフレンドは家に帰ってこなかったので、僕はうちに帰った。

>僕のガールフレンドのお兄さんと再び出会ったのは、それから十八年くらいあとのことだった。
(略)
「サヨコ(ガールフレンド)さんはどうしていますか?」とお兄さんに尋ねると。

>「サヨコはなくなりました」と彼は静かに切り出した。僕らは近くのコーヒーショップの、
>プラスチックのテーブルをはさんで座っていた。
>「なくなった?」
>「死んだんです。三年前に」
>僕はしばらくのあいだ言葉を失っていた。

彼女はまだ幼い子供を二人残して自殺した。

その短編小説を読み終えた頃、妻がリハビリを終えて私の前に車イスで現れた。
妻が自然に歩けるようになるのは、まだまだ先のようです。



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銀河鉄道の父

2023年08月25日 | 小説 エッセイ

宮沢賢治の童話や詩を20代のときに読んで、いいなと思っていた。
現在も宮沢賢治の作品は好きです。
でも、「銀河鉄道の父」(門井慶喜 著 講談社文庫)を読んで
ちょっと宮沢賢治へのイメージが変わった。
清貧で農業のことを勉強して教師になり、詩や童話を書いて若くして死んでしまった童話作家。
これが20代の頃に思っていた宮沢賢治の印象だった。
しかし、この「銀河鉄道の父」を読んで宮沢賢治へのイメージが変わった。
宮沢家は祖父の代から質屋をやっていて、お金はあって貧しくはなかった。
父親はまめで世話好きの人だった。
賢治は何度か質屋になる練習をするが、商売の話ができなくて質屋には向かなかった。
農学校の教師ぐらいしかできなかった。
東京で出版社の仕事もした。

こういう彼を私は好きです。
友だちになりたい。
でも、彼が私を友だちにしてくれるかどうか?
この小説の宮沢賢治と、いっしょに酒を飲んで語り合いたいです。
いや、彼は酒を飲まないんだな。



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「地図と拳」読了

2023年05月31日 | 小説 エッセイ

地図と拳」小川 哲 (おがわ・さとし)著  集英社刊
「第168回 直木賞受賞作!」「第13回 山田風太郎賞受賞作!」
長い小説で、625ページありました。
私は内容も知らずにNHKの「あさイチ」で紹介していたので、
この小説を買ってしまった。
満州国の話だった。
私は、あまり満州国のことなどに興味はなかった。
戦争の話です。
戦争の話など、今は読みたくないです。
「地図と拳」の目次はこのようになっている。

序章 一八八九年、夏
第一章 一九〇一年、冬
 ↓
第十七章 一九四五年、夏
終章 一九五五年、春

本を買って家に帰ってページを開けて、そのことを知りがっかりした。
なんでおれはこの本を買ってしまったんだろう?と私は後悔した。
70歳にもなって私には、こんなことがあります。
3月13日にこの本を買っていた。
2023年03月13日九想話「久しぶりに本を買う
中国の地名・名前はカナがふってあるがすぐ忘れるので読みづらい。
登場人物が沢山いるのでその関係性が分かりずらい。
でも読みました。
読んでるうちに、日露戦争、満州国の歴史、第二次世界大戦のことをもっと知りたくなった。
日本が、中国やそのまわりの国にヒドイことをしてきたことを哀しく思う。
よい小説を読めてよかったです。

……………………………………………………………………………………………………………………………………

5月の九想話
 
5/1   青大将
5/2   小倉一郎、ステージ4と宣告された肺がん
5/3   アナテレビ
5/4   阪神鮮やか逆転勝利で貯金4
5/5   谷中銀座から浅草
5/6   サボテンのつぼみたち
5/7   GWに孫が来た
5/8   いずみたく作品集
5/10  逸ノ城“電撃引退”の真相は
5/10  バラが咲きました
5/11  歯周病の話
5/12  西武・山川穂高
5/13  鰹節定食
5/14  ケーナを作りました
5/15  夢と狂気の映画の都ハリウッド
5/17  ジャニーズ事務所とNHK
5/18  道ばたの花
5/19  G7首脳らが原爆資料館を訪問
5/20  71歳になりました
5/21  私の持っているケーナ
5/21  阪神4―1広島
5/22  キュウリとミニトマトの実
5/23  令和5年春句会の反省
5/24  チューリップの球根の保存方法
5/25  がん、また再発
5/26  がんに好かれて
5/27  卓球・世界選手権
5/28  息子と孫娘からのLINE
5/29  岸田首相、長男で秘書官の翔太郎氏を更迭
5/30  東北への旅
5/31  「地図と拳」読了

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久しぶりに本を買う

2023年03月13日 | 小説 エッセイ

今日、妻は仕事が休みだった。
靴下を買いたいというので、ピオニウォークに行った。
妻が靴下を買っている間、私はリブロピオニウォーク東松山店(本屋)に行っていた。
リブロのレジ横の売れてる(売りたい)本が置いてある棚に、この本があった。

先日、NHKの「あさイチ」という番組で、この本を紹介していた。
それを観ていて、この小説を読んでみたいな、と思った。
この本が私の目の前にあった。
少し悩んだが、買わないわけにはいきません。
私は、この小説を買ってしまいました。
私の基本的姿勢は〝本は買わない〟です。
図書館で出来るだけ借りて読むという方針です。
年金&シルバー人材生活者にとって定価2,200円の本は高価です。
でも、今すぐ読んでみたかった。
なので買ってしまいました。

夕方からこの本の序章を読んでいる。
かなりこの小説の展開に引きこまれています。
これからが楽しみです。

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