司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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特例民法法人の理事の代表権について

2008-08-11 16:53:09 | 法人制度
 下記に掲記した整備法の各条文を読むと、法改正後の特例民法法人について、現行民法第53条の各自代表の規律を維持しようとするものであると思われる。ところが、特例社団法人については、「一般法人及び一般財団法人に関する法律」第77条第1項乃至第3項が適用されるものの、特例財団法人については、理事の代表権に関する条文が見当たらない。えっ!

民法
 (法人の代表)
第五十三条 理事は、法人のすべての事務について、法人を代表する。ただし、定款の規定又は寄附行為の趣旨に反することはできず、また、社団法人にあっては総会の決議に従わなければならない。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年六月二日法律第五十号)
http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO050.html
 (社団法人及び財団法人の存続)
第四十条 第三十八条の規定による改正前の民法(以下「旧民法」という。)第三十四条の規定により設立された社団法人又は財団法人であってこの法律の施行の際現に存するものは、施行日以後は、この節の定めるところにより、それぞれ一般社団・財団法人法の規定による一般社団法人又は一般財団法人として存続するものとする。
2 前項の場合においては、同項の社団法人の定款を同項の規定により存続する一般社団法人の定款と、同項の財団法人の寄附行為を同項の規定により存続する一般財団法人の定款とみなす。

 (理事及び監事に関する経過措置)
第四十八条 この法律の施行の際現に旧社団法人(第四十条第一項に規定する社団法人又は民法施行法社団法人をいう。以下この章において同じ。)又は旧財団法人(同項に規定する財団法人又は民法施行法財団法人をいう。以下この章において同じ。)に置かれている理事又は監事は、それぞれ一般社団・財団法人法第六十三条第一項(一般社団・財団法人法第百七十七条において準用する場合を含む。)の規定によって選任された理事又は監事とみなす。
2 特例民法法人の理事(理事会を置く特例民法法人が選任するものを除く。)の選任及び解任、資格並びに任期については、なお従前の例による。
3【略】
4 旧社団法人又は旧財団法人が定款(旧民法施行法第十九条第二項の認可を受けた書面を含む。以下この項及び第八十条において同じ。)若しくは寄附行為(旧民法施行法第十九条第二項の認可を受けた書面を含む。以下この項及び第八十九条において同じ。)、定款若しくは寄附行為の定めに基づく理事の互選又は社員総会の決議によって定めた当該法人を代表する理事は、一般社団・財団法人法に規定する代表理事の地位を有しない。

 (理事及び理事会に関する規定の適用除外)
第五十条 特例民法法人については、一般社団・財団法人法第七十六条第四項、第八十六条から第八十九条まで及び第九十条第五項(これらの規定を一般社団・財団法人法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
2 理事会を置かない特例民法法人については、一般社団・財団法人法第八十条から第八十三条まで及び第八十五条(これらの規定を一般社団・財団法人法第百九十七条において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

 (定款の記載等に関する経過措置)
第八十条 1・2【略】
3 旧社団法人の定款における理事会又は会計監査人を置く旨の定めは、それぞれ一般社団・財団法人法に規定する理事会又は会計監査人を置く旨の定めとしての効力を有しない。
4・5【略】

 (定款の記載等に関する経過措置)
第八十九条 1~3【略】
4 旧財団法人の寄附行為における評議員、評議員会、理事会又は会計監査人を置く旨の定めは、それぞれ一般社団・財団法人法に規定する評議員、評議員会、理事会又は会計監査人を置く旨の定めとしての効力を有しない。
5~7【略】

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
 (一般社団法人の代表)
第七十七条 理事は、一般社団法人を代表する。ただし、他に代表理事その他一般社団法人を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の理事が二人以上ある場合には、理事は、各自、一般社団法人を代表する。
3 一般社団法人(理事会設置一般社団法人を除く。)は、定款、定款の定めに基づく理事の互選又は社員総会の決議によって、理事の中から代表理事を定めることができる。
4 代表理事は、一般社団法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

 なお、一般財団法人に関して、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」第197条の規定により、同法第77条第1項乃至第3項の規定は、準用されていない(当然であるが)。
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