大阪高裁平成19年9月20日決定
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=35697
【判示事項】
後見人が自己の直系卑属である未成年者被後見人を養子とするため民法794条の許可申立てをした場合における裁判所の審査すべき範囲
【裁判要旨】
後見人が,自己の直系卑属である未成年者被後見人を養子とするため,民法794条の養子縁組許可を申し立てた場合,裁判所は,当該被後見人の財産的地位に対する危険を排除するという観点から当該養子縁組の当否を吟味すれば足り,子の福祉確保の観点からその当否を審査すべきではない。
「もっとも,本件のように,後見人が15歳未満の被後見人を養子とすることは利益相反行為となるため,本件養子縁組については,本裁判による許可のほか,特別代理人を選任した上で,その代諾を要することは当然のことである(民法860条,826条1項) 。」
民法
(後見人が被後見人を養子とする縁組)
第794条 後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。
(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第797条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
(未成年者を養子とする縁組)
第798条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。