山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

八代醸造 訪問

2010-03-07 16:10:56 | ワイナリー訪問記
笛吹市八代町の八代醸造に行ってきました。
笛吹市八代支所の裏に熊野神社、その東に八代醸造があります。大きな道路沿いではなく、畑の中の集落の中にあるので、1度や2度行ったのでは覚えられません。しかし、この辺りの方は皆な親切なので、丁寧に道順を教えてくれます。

 八代醸造は昭和60年(1986年)に開催された「かいじ国体」の少し前に設立されました。国体に来県される方々に、地元のワインを提供しようと、設立されたそうです。
 
 訪問した日は3月3日、3月として比較的暖かい日で、八代醸造の前のぶどう畑で枝の剪定されていた方が、社長の篠原安夫さん。急な訪問にも、作業の手を休めて、暖かくむかえてくれました。
 篠原さんは、なんと87歳。お歳を伺ったときには、失礼ながら絶句してしまいました。たいへん元気で、とても87歳とは思えない。話しの内容、話し方、仕事の様子、すべてにおいて、とてもエネルギッシュ。世の中の87歳の方、すべての方が篠原さんのようなら、少子高齢化社会はうまくいくのでは。
 調べていないので定かではありませんが、山梨のワイナリーの経営者では最高齢ではないでしょうか。働くことは元気の源と実感。

 八代醸造は、甲州種の白が大変評判の良いワイナリーです。メインブランドは「甲州路」。白の辛口と甘口が揃っています。
 甲州路の上のクラスに「シャトーモンターニュ」。モンターニュはフランス語で山の意味。東京にお住まいの息子さんの命名だそうです。たしかにすぐ後ろにそびえる御坂山地を見ると、この名前も納得。赤はマスカットベリーA種、白は甲州種です。
 ほかに、白は甲斐ブラン、赤は甲斐ノワールの「三美神」、また社長が特別に醸造した生食用ぶどう「ロザリオ」を使った白極甘口のワインもあります。ロザリオは1キロ800円から1500円もするのに、ワインの価格は2100円(720ml)。ただ、そろそろ品切れだそうです。残念!
 
 八代醸造の特色は、原料のぶどうのほとんどが自社栽培のものを使う点。甲州種の一部を、社長の友人2人から仕入れるが、あとはすべて自社栽培。全盛期より売上は少し減少したが、常連のお客様を常に満足してもらうように「だっちもないワインは作れない」のがモットーです。
 8割のワインは、常連のお客様へ直送、2割が酒店や八代町の農産物直売所で販売。問屋は通していないので、市場で八代醸造のワインを見かけるのは困難です。HPもなく、一般のお客様は口コミや、かいじ国体の時に八代町に民泊した国体関係者が今なお購入し続いているとのこと。品質の確かさが無ければあり得ないことです。

 社長の後継者として、娘婿の小林哲朗氏が、銀行を定年退職し、現在山梨大学へワイン醸造の勉強に行っているとの事。「元気のうちに伝授したい」と社長は笑顔で語っていました。

 今年4月には、モンターニュ赤の上級品、10年貯蔵が発売です。マスカットベリーA種を樽で3年、ステンレスで7年貯蔵した社長楽しみな逸品。価格は未定。「浜松やさんにも分けてやる(販売しても良い)よ」と仰っていただきました。一生懸命売らせて頂きます。

 ただ弊社のメインは一升瓶ワインで、八代醸造の弊社の取り扱いワインは、すべて一升瓶ワイン。ワイナリーにも、もっと一升瓶ワインが並んでいるかと思いきや、すべて720mlの瓶ばかり。「社長、一升瓶はどこにあるですか」と尋ねると、社長は「一升瓶ワインはおたくと近所の人しか買われないよ」と言われ、再度絶句。10年貯蔵の赤ワインも720mlのみの販売だそうです。
 
 八代醸造は、観光客歓迎のおしゃれなワイナリーではありません。一見、ワイナリーとは思えないちょっと大きな農家といった感じ。だから、働いている方もお揃いのユニフォームを着ていませんが、皆な大変暖かい人ばかりです。

 

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