2017年の日本ワインコンクールで、大きく変わったのは、1社の出品数が25アイテムまでと制限されたことです。
これにより、大手ワイナリーの入賞が多くを占めることが無くなりました。
制限しても、入賞数の多いワイナリーは、メルシャン、サントリーですが、この2つのワイナリーのレベルの高さを考慮すると当然です。
入賞数のワイナリー別では、山梨県内ワイナリーもマルスワイン、大和葡萄酒、まるき葡萄酒、フジッコワイナリー、盛田シャンモリワイナリーが10アイテム前後のワインが入賞し、大健闘。
その中で、丸藤葡萄酒(勝沼)が4つのワインで金賞受賞をしたことは衝撃でした。
スパークリングワインのエチュード、国内改良品種のマスカットベーリーA樽貯蔵バレルセレクト、欧州系白のシャルドネ旧屋敷収穫、欧州系赤のプティヴェベルドーの4つのワインです。
この4つのワインは、過去にも金賞を受賞しているので、丸藤葡萄酒のレベルの高さが判ります。
また、欧州系葡萄と、日本在来品種とも金賞なので、全方位のワインのレベルが大変高く、その点でも大手ワイナリーと肩を並べます。
丸藤葡萄酒は県内大手ですが、メルシャン、サントリー、マンズと比べると、会社は桁違いの小さなワイナリー。
発売しているワインの種類も大手ワイナリーと比べると、大分少ないです。
その丸藤葡萄酒の4つの金賞受賞は衝撃であり、快挙でした。
新設ワイナリーの入賞もありました。
山梨では、塩山製作所が経営するマグヴィスワイナリー。
今年5月に開設されたワイナリーで、今回3つのワインが入賞しました。
新設ワイナリーの新しいワインが、初出品で入賞するのは、コンクールのレベルが低いのか、という疑念が浮かびますが、出品されたワインの質が高いのです。
ワインの質は、原料の葡萄の出来、醸造設備、醸造家の作り方の3つで決まると考えています。
マグヴィスは、葡萄畑ごとにワインを作る徹底ぶり。
醸造設備は最新。
醸造家は、サッポロワイナリーを定年退職した経験豊富な方。
そうなると、来年以降、さらに入賞ワインが増えると考えられます。
まだ、生産量が少なく、価格も高い(5400円から7560円)ですが、楽しみなワイナリーです。
醸造設備が一新されると、ワインの質が格段に上がります。
まるき葡萄酒は、経営者が代わり、醸造設備が一新されてから、ワインの品質が上がりました。
それ以降、日本ワインコンクールでは多数のワインが入賞しています。
マグヴィスのワイン価格が5400円~7560円ですが、新設ワイナリーの価格は、このような高価格になりがちです。
高価格はワイナリーの経営から産出した価格ですが、老舗ワイナリーが千円台で素晴らしいワインを作っていることは、驚異と感じられるようになりました。
同じ新設ワイナリー(と言っても創業から20年くらい経過していますが)のイケダワイナリーは、メインのワインが1620円でレベルが高い。
イケダワイナリーは畑を持たない、醸造に特化したワイナリーです。
畑を維持しないで、経費を抑えることにより、ワインの価格を抑える方法もありますね。
小さいワイナリーの健闘もあります。
イケダワイナリー、シャトージュン、ドメーヌQ、笹一、三養、江井ヶ嶋は、醸造家が一人と周りのスタッフ数人でワインを作っていると思われます。
その中で、江井ヶ嶋(シャルマンワイン)は6つのワインが入賞しました。
江井ヶ嶋は、兵庫県が本社の日本酒やウイスキーの酒造会社で、ワイナリーも経営していますが、そのワイナリーは以前の名称が白州醸造。
山本家の個人所有でしたが、縁あって江井ヶ嶋酒造になりました。
現醸造家は、山本公彦氏。山梨大学で醸造を学び、30年余り。
山本氏と数人のスタッフでワイナリーを経営しています。
山本さんは、ワイナリーに隣接の畑か、醸造場か、売店事務所でいつも忙しく働いています。
小さなワイナリーが活躍すると、地元の酒屋も大変嬉しい。
コンクールに参加するワイナリーは、山梨では30社強。
山梨のワイナリーは80社強なので、約4割。
山梨を含めた参加ワイナリーは、全国で99社。
全国にワイナリーは250社弱なので、参加率は山梨と同じく約4割くらいですね。
参加しないワイナリーの理由も様々ですが、主催の山梨県は、今まで通り、1社でも多くの参加を呼び掛けてください。
15周年の日本ワインコンクールは、日本のワインのレベルアップに確実に貢献しています。
http://www.hamamatsuya.jp/concour.html