山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

ルミエールの甲州シュールリーが・・・

2010-07-25 15:37:30 | ワイン四方山話
 甲州種ワインのシュールリー製法は、甲州種ワインの新しい形として定着、人気が出ています。
 甲州種ワインは、外国の白ワインに比べ、薄っぽい、などと言われることもあるのですが、シュールリー製法で、薄っぽさを見事に克服しています。
 難点は、価格が高くなる点です。貯蔵期間が5ヶ月と決められているので、普通の甲州種ワインより2割程度高くなります。720mlサイズのシュールリーワインは2000円弱が相場です。
 
 一宮町のルミエールは、宮内庁に赤ワインの納入実績のある名門ワイナリーですが、甲州種ワインのシュールリーの参入が遅れ、後発ゆえに価格を抑えて発売しました。3、4年前のことです。
 当時、どこのメーカーもシュールリーの甲州種ワインは1500円を越えていましたが、ルミエールは1200円で参入。そのころよく売れていたシュールリーは、本坊酒造(マルスワイン)の「白根シュールリー」や中央葡萄酒(グレイスワイン)の「グレイス甲州」で、どちらも国産ワインコンクールの甲州種辛口部門で、トップの金賞をとった実績がありました。

 ルミエールのシュールリーが発売された当時は、「安いなあ」くらいの印象しかなかったのですが、ルミエールの営業の方の熱心さと、年々値上げされる各社のワインを考慮し、いつの間にか、弊社のシュールリーの中では、一押しのワインになりました。グレイス甲州には及びませんでしたが、白根シュールリーよりは販売数が上回るようになりました。

 ところが、今年のルミエールシュールリーはなんと値上げ。営業の方の説明によると、「最近の甲州種の収穫量の減少と、甲州種の人気で」とのこと。そうなんです。甲州種は最近メディアの露出も高く、普段外国のワインを飲み慣れている方々にも評価され、よく売れています。
 
 また、7月21日には、甲州種ワインがヨーロッパへ初出荷されました。日本食がブームの中、日本食に合うワインというスタンスで、山梨のワイナリーがアピールしてきた成果です。
 
 しかし、甲州種の葡萄の収穫量は減少しています。こちらは、葡萄の甲州種の価格が安く、農家が作らなくなってしまったためです。ここ3年ほど甲州種葡萄は、需要が供給を上回り、葡萄の価格は安定または上昇していますが、それ以前は毎年のように安く買い叩かれる状況で、農家が甲州種の樹を切って、違う葡萄の栽培を始めてしまったからです。
 
 人気が出たのに、葡萄が無い。当然、品切れも起こります。昨年は、グレイス甲州が半年間、品切れしていました。今年は、矢作ワインの一升瓶の白がすでにありません。11月以降の新酒が出るまで品切れです。

 そして、ルミエールのシュールリーも品切れになりました。発売は5月初旬です。発売時に値上げと聞いてパンチを食らい、7月初旬に売り切れと聞いてダブルパンチです。

 売る方としては、暑くなって、甲州種シュールリーを売り出すチャンスなのです(冷やすとなお美味しい)が、発売して2ヶ月で売り切れとは絶句です。おいおい、こちらは「なんぼも売っていないよう」。

 さて、いよいよ国産ワインコンクールの審査も終わり(7/21から7/23)、そろそろ審査発表です。こちらも、上位入賞ワインは注文が殺到し、すぐにメーカー売り切れになります。審査発表には気をつけます。


 

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第8回国産ワインコンクール

2010-07-04 19:02:21 | ワイン四方山話
 第8回国産ワインコンクールが、7月21日から23日まで山梨・甲府富士屋ホテルで開催されます。
 このコンテストは日本最大の規模で、全国のワイナリー104社が参加します。日本のワイナリーは170社ほどなので、6割以上のワイナリーが参加し、過去最高になります。
 
 出品されたワインは690本。この690本が、原料の葡萄の種類別に13のカテゴリーに分かれ、順位が付けられます。審査員は外国人も含めワインのスペシャリストが24人、すべてのワインに点数を付けるので、3日間もかかります。規模も最大ですが、審査の質も日本一でしょう。
 
 「国産ー」と付いているのは、原料の葡萄が国内産100%のものに限定しているためです。ややこしい話しですが、日本で流通している国産ワインの7割以上は、外国の葡萄果汁を国内で発酵させたワインです。大手メーカーの比較的価格の安いものやパックワインがそのワインです。そのようなワインは、コンテストに参加できません。
 
 注目すべきは、日本固有の白ワインの葡萄品種「甲州種」部門です。日本古来から存在する白ワインの葡萄品種としては、甲州種の他に長野の龍眼くらいしか無く、龍眼を使ったワインは少ないので、甲州種は現在のところ唯一の日本固有の白ワインの品種として注目されています。
 
 また、甲州種ワインは外国の白ワインと比べて、おとなしい口当たりなので、微妙な味わいを大事にする日本食に大変よくマッチすることが明らかになり、最近の甲州種ワインのブームの一因にもなっています。
 
 甲州種ワインは、名前が原因なのか山梨以外ではあまり造られていません。山形や大阪、静岡などで少し造られています。しかし、山梨のワイナリーはすべてのメーカーが造っています。それも他の葡萄品種以上に、プライドをかけて造っています。甲州種ワインの評価が高いと名誉なのです。

 コンテストに出品されるワインは、すべて去年までに製造されたワインです。。去年は、残暑が厳しく、9月末まで30度以上の日が続きました。葡萄は、寒暖の差が大きいほど糖度が高くなります。山梨では、真夏の暑さは夜も暑いので葡萄作りには良くないのですが、去年の9月の暑さは日中だけで、夜は気温が下がったため、大変良い葡萄ができました。糖度が高い葡萄は、甘いワインができるという訳ではなく、発酵に使われる糖が多く含まれ、葡萄に力があるということです。もちろん辛口から甘口まで、レベルの高いワインができます。近年にないグレートヴィンテージです。

 各ワイナリーがプライドをかけたグレートヴィンテージの戦い。今年のコンテストはハイレベルなものになるでしょう。結果が大変楽しみです。
 

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