山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

グレイス甲州 新ヴィンテージ発売

2010-04-18 19:53:18 | ワイン四方山話
 中央葡萄酒の「グレイス甲州」と「グリド甲州」の新ヴィンテージ(年号)が遂に発売になりました。

 グレイス甲州は、シュール・リー製法で造られているため、5ヶ月の貯蔵を終え登場です。中央葡萄酒だけでなく、シュール・リー製法の甲州種ワインはこれから次々と販売開始です。

 シュール・リー製法は、薄い印象の甲州種ワインに、豊かなボディを与える事が目的で、発酵を最後まで行なうので辛口のワインです。
 
 フランスのミュスカデ地方で誕生した製法です。フランスの有名な白ワインのミュスカデ種も、葡萄そのものが力不足で、シュール・リー製法により、あのみずみずしいワインが出来あがります。

 発酵を終わったワインは、ほとんどが酵母から成るオリ(その他たんぱく質や酸の結晶)が沈み、上のほうから澄んできます。通常のワインはここでオリを取り除くのですが、シュール・リー製法では最低5カ月はオリを取り除きません。

 その間に沈んだ酵母は自己消化し、アミノ酸を溶出し、ワインに旨みや厚みを与えます。
ただし、その期間が長すぎると、変な匂い(オリ臭)が付いたり、酒質を劣化するので、山梨では6月30日までに瓶詰することになっています。

 それでは、すべてのワインをシュール・リー製法にすれば良いのでは、と思われますが、もともと葡萄に力があるシャルドネなどには逆効果になります。

 甲州種は全部この製法で、というのもありえません。
シュール・リー製法のワインは辛すぎる、個性が強すぎる、という意見もあります。価格が高くなる、甘いワインが良い、いままでのワインの方が良い、という方もいるでしょう。シュール・リー製法以外でもいろいろな製法があり、各社が技を競い合っています。グリド甲州がシュール・リー製法で造られていないのも、上記理由のどれらかと思われます。

 また、シュール・リー製法は、発酵、貯蔵、管理などに高い技術が必要で、うまくいかない場合もあります。すべてのワイナリーで採用されているわけではありません。

 ただ、最近の世界のワインの主流が辛口で、シュール・リー製法で造られた甲州種ワインが、各コンテストで上位入賞する傾向にあります。
 
 中央葡萄酒のグレイス甲州は、昨年のワインチャレンジコンテストで甲州種部門で第1位、2008年の国産ワインコンテスト甲州種辛口部門で第1位に輝いています(2009年国産ワインコンテスト甲州種辛口部門第1位はグリド甲州)。

 中央葡萄酒の他にも、丸藤葡萄酒工業(ルバイヤート)、フジッコワイナリー(フジクレール)、ルミエールなどが、甲州シュール・リーのワインを出してきます。

 昨年は葡萄の出来が当たり年(しかし甲州種の収穫量は少なかった)だったので、例年以上に楽しみです。

 

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