山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

八幡(やわた)ワインを知っていますか?

2011-02-04 11:22:31 | ワイナリー訪問記
八幡(やわた)ワインをご存知ですか。

酒販歴20年の私米山や、山梨でワイン醸造15年の大里店店長清水が知らなかった、また山梨のワイナリーの多くの方もご存知ない山梨市にある八幡洋酒というワイナリーです。

新たな一升瓶ワインを探していた時、山梨のワイン業界の生き字引と言われる元サントネージュワインやまるき葡萄酒で活躍された望月氏が「八幡に良いワインがある」と一言。

「え、そんなワイナリーは知らない・・・。まだ知らないワイナリーが県内にあるとは!」

そこから八幡ワインの探索が始まりました。

まずは八幡洋酒に電話するが、いつも誰も出られない。
次に、ネットで情報を探るが、住所や電話番号などの情報ばかりで、ワインの情報は一切無し。

他のワイナリー関係者に聞いても、誰もご存知ない。

そこで、2月の寒い午後、仕事を中断し、山梨市へ向かった。

雁坂道(国道140号線)を登っていき、山梨市の日下部(くさかべ)で、太良峠方面へ左折。
途中、日本酒メーカーの養老酒造を通り過ぎ、山道をどんどん登っていく。

意外と人家は途切れることなく、昔からの集落が続く。
周りは葡萄畑も多い。
ただし、はじめての道で、目指す八幡洋酒の案内看板は一切無く、不安は増すばかり。

JA八幡を発見。
そこで八幡洋酒を尋ねると、「約束してあるだけえ。多分、会社は無人だから、社長の家に行けし」
と、親切に社長宅を教えていただいた。

運良く社長の佐藤賢仁氏はご在宅。
突然来訪したにも関わらず、社長はワイナリーを案内してくれるとのこと。
2月の夕暮れ、外はすでに気温が零度くらいでは。

会社の鍵を預けてあるという社員宅(丸山様)に向かい、3人でワイナリーへ。

ワイナリーは道から少し入ったところにある、風格ある倉庫のような建物。
カメラを持ってこなかったことが悔やまれる。

事務所で早速試飲。
事務所から、ホーローの大きなタンクが6つほど見える。
赤葡萄は造っていなく、甲州種とデラウエアの白ワイン2種類のみ製造。

甲州はレモン色で、ボリューム感があり、レベルは高い。甘辛は中口。
デラウエアは透明に近い色合いで、香りが華やか。少し甘口。
佐藤社長は、このデラウエアを飲み続けているとのこと。

これなら売れる、と確信し、売ってくれるか、との問いに快諾。
倉庫へ向かうと、なんと一升瓶ワインがPケースに入って、幾重にも積み上げられている。
甲州種とデラウエアだけで、500本以上はあるだろう。

720ml瓶を尋ねると、「720mlは割高だよ」と無関心。
それでも120本は在庫がある。
化粧箱も揃っていました。

このワインはどこに売るんだろうか?

八幡洋酒は、近隣の葡萄農家320軒が株主のワイナリー。
株主の農家が葡萄を持ち込み、ワインにして返してもらうのが原則。
このワインはすべて株主の農家と知り合いだけで消化されるとの事。

この時期は、月2~3回の出庫日のみ会社を明け、その時に農家の方々が買いに来る。
瓶を洗って持ってきてくれると、50円値引きするそうです。

まさに地産地消。
いままで、見たことが無かった事に納得。
こういうワインがあったのか。

昔は、どの葡萄栽培農家も、自宅でワインを造っていた。
それがいつの日か、密造酒になってしまい、税務署の指導で、組合のワイナリーが設立。
この流れは、山梨のどの地域でもあった事。
現在山梨にあるワイナリーのほとんどが、この流れを経ている。
後に、組合の中から志ある人が、他の組合員から株を買い集め、普通の会社組織になったワイナリーと、いまだに組合形態のワイナリーがある。

八幡洋酒は、完全な組合形態を保っている、今では珍しくなったワイナリー。
近々、弊社店頭に、このワインが並びます。

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