【夕顔】の巻 (1)
同じ夏の話しです。
「六條わたりの御忍びありきの頃、内裏より罷で給ふ中宿りに、大貳の乳母のいたくわづらひて尼になりにける、とぶらはむとて、五條なる家尋ねておはしたり」
源氏が六條御息所に忍んで通われるころ、内裏からの途中の休み所として、大貳という源氏の乳母の家がありました。ひどく煩って今は尼になっていますので、見舞おうと五條に尋ねてきました。
大貳の隣家にすむ女主人が、どのような気持ちからか、扇に書いておくったうた
「心あてにそれかとぞ見る白露のひかりそへたる夕顔の花」
当て推量に源氏の君かと思ったことです。白露が光を一入加えた夕顔の花のような美しいあなた様を
源氏のうた「寄りてこそそれかとも見めたそがれにほのぼの見つる花の夕顔」
もっと近寄って見てこそ、その人とも分かろう。夕暮れ時にぼんやり見た夕顔の花の正体は
作者の挿入
源氏は、自分を目指して歌をよみかける女の心を捨て置けず、例によってこの方面にまめなご性分と見えまして…
源氏はこの女性の素性を惟光に調べさせ、通うようになります。
源氏が17歳の夏から秋にかけての頃です。
★六條御息所(ろくじょうのみやすんどころ)=桐壺帝の兄?(故前坊)の妃で六條に住んで居ます。未亡人です。源氏とどのように縁を結ばれたのかは、例のごとく高貴な方なので書かれていません。24歳。
★大貳(だいに)=源氏の乳母で、惟光の母。源氏と惟光は乳兄弟。惟光は常に源氏の付き人として、恋の道の無理難題にも身を粉にして働きます。
★夕顔は19歳。最後まで素性がわからず、遊女か?という解説書もあります。階級は下で、源氏は自分も身分を隠して逢います。
ではまた。
同じ夏の話しです。
「六條わたりの御忍びありきの頃、内裏より罷で給ふ中宿りに、大貳の乳母のいたくわづらひて尼になりにける、とぶらはむとて、五條なる家尋ねておはしたり」
源氏が六條御息所に忍んで通われるころ、内裏からの途中の休み所として、大貳という源氏の乳母の家がありました。ひどく煩って今は尼になっていますので、見舞おうと五條に尋ねてきました。
大貳の隣家にすむ女主人が、どのような気持ちからか、扇に書いておくったうた
「心あてにそれかとぞ見る白露のひかりそへたる夕顔の花」
当て推量に源氏の君かと思ったことです。白露が光を一入加えた夕顔の花のような美しいあなた様を
源氏のうた「寄りてこそそれかとも見めたそがれにほのぼの見つる花の夕顔」
もっと近寄って見てこそ、その人とも分かろう。夕暮れ時にぼんやり見た夕顔の花の正体は
作者の挿入
源氏は、自分を目指して歌をよみかける女の心を捨て置けず、例によってこの方面にまめなご性分と見えまして…
源氏はこの女性の素性を惟光に調べさせ、通うようになります。
源氏が17歳の夏から秋にかけての頃です。
★六條御息所(ろくじょうのみやすんどころ)=桐壺帝の兄?(故前坊)の妃で六條に住んで居ます。未亡人です。源氏とどのように縁を結ばれたのかは、例のごとく高貴な方なので書かれていません。24歳。
★大貳(だいに)=源氏の乳母で、惟光の母。源氏と惟光は乳兄弟。惟光は常に源氏の付き人として、恋の道の無理難題にも身を粉にして働きます。
★夕顔は19歳。最後まで素性がわからず、遊女か?という解説書もあります。階級は下で、源氏は自分も身分を隠して逢います。
ではまた。