goo blog サービス終了のお知らせ 

予備試験に向けた夏,法曹倫理

2010-07-01 15:21:50 | 予備試験関連
「法曹倫理」。非常に誤解を招きやすいネーミングである。

塾長も指摘されている通り,そもそも純粋な意味での「倫理」を採点対象にすることはできない。それこそ,各人の倫理に国家が優劣をつけくさる,という豪快な事になってしまう。したがって,「倫理」とは言うものの,道徳や倫理等とはまるで異なるという事をまず認識して欲しい。「解答」のある「倫理」である。

結論から言えば,作文・感想文・べき論をやっては駄目である。まるで点がつかないので覚悟したい。この点については,ロースクールの法曹倫理の授業でも顕著に見られた。学生一人一人に質問を先生がぶつけていく時の話だ。問題が問題だけに熱くなりやすいというのもあるが,多くの学生が「べき論」を展開していた。その度に先生が困った顔をしていたのが印象に強く残っている。レポートや定期試験でも,自信満々の出来のはずが,えらく低い評価がついて返ってきた学生が多く見られた。大抵その理由は単なる「べき論」を展開しただけの作文であるから,である。

では,純粋な「倫理」でなければ何なのか。結論から言えば,「法曹倫理」は倫理でもなんでもなく,「弁護士法・弁護士職務基本規定法」の試験なのである。民法やら刑法と同じで,これら諸法の解釈適用を問われているだけである。要は普通の法律科目の試験である。なお念のため,吉野の法曹倫理の成績は「A」であったので信用して欲しい(笑)。
検察倫理などもないわけではないが,法曹倫理のメインは弁護士倫理である。「自由と正義」の臨時増刊号「解説 弁護士職務基本規程」(2005)が重要である。コンメンタールのようなものだ。

ところで,何だか知らないが市販されている法曹倫理のテキストはやたらと分厚いものが目立つ。ちなみに慶應で使用していたのは当時上下巻で1万円以上もする1000ページ近いテキストであった。なんじゃそりゃ,である。ドア・ストッパー以外に用途がない。ここにも弁護士会の自意識過ふがふが以下自主規制・・・がうかがえそうな気がしないでもないような風情であると思うと感じた次第であったと記憶している。

対策としてちょいと面倒くさいのが,「解説 弁護士職務基本規程」の読み込みが一応メインなのだが,これだけだと,問題が載っていないので,どの条項が重要で,具体的な適用場面と言うのもぴんと来ない,という受験対策上致命的な弱点がある。かといって,分厚い法曹倫理の本なんぞ読んでいる暇は無い。

結局,受験指導校に頼るのが一番楽であろう。法曹倫理の比重はそんなに高くはないし,やる事は山のようにある。効率第一である。とっとと終わらせてしまおう。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする