来年予備試験を受けようと言う方は,今夏は行政法から勉強するのが良いのではないか,と言う話を以前しました。
「行政法」という法律は存在しませんが,試験的に重要な「行政法」としては,行政事件訴訟法,行政手続法が2トップです。これに続くのが,行政不服審査法,国家賠償法,行政代執行法,情報公開法,個人情報保護法です。これらの条文の読み込みは当然のこと,関連する判例・論点等の学習をする,というのが「行政法」の勉強スタイル,ということになります。また実体法の整備度が低い法律にありがちな,「判例の重要性の高さ」は,行政法は半端ではありません。百選2冊+直近の重要判例集は必須です。
定義が非常に重要で,例えば,行政指導って何だろうかと。行政手続法2条6号に定義規定があります。この定義規定を元に考えます。問題文で行政機関が,国民に対し何か「指導」していると。この「指導」に行政手続法の適用があるかという問題が出たりします。「一定の行政目的を実現するため」なのかどうか,「特定の者に」対するものになっているかどうか,「一定の作為または不作為」を求めているかどうか,などの検討を求められます。「特定の者」ではなく,結局不特定多数の者に対する「メッセージ」になっていれば,それは行政手続法上の「行政指導」ではない,ということになります。
論文試験でも,取消違法があるかどうかという場面で,行政手続法違反の違法事由があるかもしれない,という手続違法アプローチは定番です。例えばその場合,まずそもそも本問における「行政の行為」が,「不利益処分」なのかどうか,という当てはめをしなければいけません。そして「不利益処分」だとしたら行政手続法第三章の適用対象となりますから,第三章規定の手続をとっていなければ手続違法がある,という処理になります。このように定義規定のあてはめという作業を頻繁に行う事になります。言葉のイメージから「何となく」判断するような事は無いようにしましょう。行政法は変な思い込みに引っ張られやすい科目なので,「定義規定は無いか?」という姿勢を持つようにしましょう。
ちなみに「仕組み解釈」という言葉がやたらめったら出てくると思いますが,それは新司法試験対策段階になってから本格的に学習すれば大丈夫です。ケースメソッド論文マスター行政法でこれでもか!とたっぷりやりますからご安心をば。まずは基礎固めです。