日本国憲法第九条を読み直してみた。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
今問題になっている集団的自衛権というのは、子どものけんかに置き換えると、仲間や所属グループの誰かが、他の集団に取り囲まれて危害を受けたときは、仲間を助けに行くのは当然という、ヒトのきわめて原初的な衝動との共通性を感じる。
子どもの場合、昨日けんかした子どもと次の日は一緒に仲良く遊んでいたり、逆の場合もちょくちょくある。これはこれらの子どもたちにとって、けんかが仲間内の外交手段になっているから。手を組む相手は刻々変わる。
ところが、この中にいくつか学年の異なる子どもがいると、あまりけんかにはならない。年上の子は年下に対し、平和裏に言葉によって諫めることはあっても暴力を振るうことは、通常ほとんどない。いたいけな子どもたちは、石や棒などを持って歯向かってくるかもしれないが、そこは知恵を使って防御に努めている。大げさなポーズや大声を上げるときもあるが。
つまり、こんな厳格に戦争や軍隊を認めない憲法を持つ日本は、周辺諸国よりも成長して、年上の国にならなくてはいけない。中国や韓国より年上と自己紹介したら、嫌みの一つ二つ浴びせかけられるだろうが、そこは大人の対応をすべきだ。この単独の交戦権さえ想定しない憲法を、どんなふうに読んだら他国と手を携えて戦争できることになるんだか、さっぱりわからない。
日本が友好条約を結んでいる国はたくさんある。中国もそのうちのひとつ。それらの国々といっしょになって集団的自衛権を行使することがないとは言えない。そのときどきの、いたいけな政府の考え方によって、どの国にもスリより、もしくは誰とでもけんかするのだと思うと空恐ろしくなる。(2014.4.22)