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2017.5.6 『扇沼山』(1,668m)

  6日の朝はなんだかだるく、5時半まで寝ていた。

前夜Hiromiは頭痛がすると言って、夕食後眠ってしまった。

頭痛なんかなくても、腹いっぱいになったらいっつも寝てしまうけどね~

 

 空は晴れている。

スタートが出遅れたし、昼前には雨が降り出すという天気予報も承知の上で、

『扇沼山』に向かって歩き出した。

この山は長い間未踏のままで、

いつかそこに立って十勝連峰を違った角度から眺めてみたいと思い続けてきた。

Hiromiはスキーが苦手なので、ツボ足で歩ける時期まで待ったが、

今年は雪融けが早いので、山麓の斜面にはもう取り付けないだろうとあきらめていた。

ところがこの前日、『鋸岳』の登路で見る林道奥にはかなりの雪が残っていた。

それで急きょ予定を変更して挑むことにした。

車の中には登りたい山の地形図を色々用意しているが、

その中には『扇沼山』も含まれている。

 

 美瑛林道入口を目指して車を進めると、林道ゲートの前まで融雪が進んで、

ゲート前に駐車することができた。

そしてゲートを越えると同時に積雪状態。

なんだか理想的な展開だ。

歩き始めて40分ほど経った頃、突然真新しいヒグマの足跡が現れた。

ヒグマの足跡なぞ、別に珍しくもない。

ところがこのヒグマは子連れだった。

母グマの横に成獣に近い子グマの足跡が、我々の行く手方向に続いている。

これはちょっとまずい。

久しぶりにホイッスルを首にかけ、頻繁に吹き鳴らして進んだ。

 

 歩き始めて約1時間で林道が切れた。

災害で流出したようだ。

そこで「丸山」の斜面に取り付き、高度を稼ぐことになった。

樹林帯の中を黙々と歩く。

ちょっと辛そうなHiromiに「大丈夫か?」と声をかけると、

「大丈夫です、でも頭痛がする」と、やはり前夜からの体調不良が続いている。

無理はさせられないが、「やめろ」と言ってみたところで、やめるはずもなく・・・

 

 やがて「丸山」の南のピークを過ぎると、

突然樹林が開けた地形に変わり、進行方向に目指すピークが姿を現した。

実に感動的な瞬間だ。

しかしまだ遠い。

そして雪質が悪くなり、登山靴をズブズブ飲み込む。

おまけに一面がハイマツ帯のため、

積雪が浅いところでは「ハイマツ地獄」に自由を奪われ、のたうちまわる。

それでも四苦八苦しながらなんとか「1,426mP」に立ち、

『扇沼山』までの最後の登路を仰ぎ見る。

登りにして1時間弱か。

と、Hiromiが一言、「まだ行くの?」(やはり体調が本調子ではない)

「行くさあ」と言ったものの、振り返ると背後には真っ黒な雨雲が迫っている。

頂上に立つ頃には雨が降り出すだろう。

体調が悪い者を長時間雨にさらして良いものか?

良いわけがない。

撤退を決めた。

目の前の『扇沼山』は、また今度体調が万全の時に登ろう。

後ろ髪を引かれる思いで、何度も振り返りながら下る。

雨は真っ黒い雨雲の到来とともに降りだした。

まあ、憧れの山を目の前で見られたことに感謝!

 

 下山後まだ早かったので美瑛町まで走り、買い物をして銭湯で汗を流した。

そしてまた前夜と同じ場所に戻って車中泊。

このころになると、もう頭痛も解消したHiromiだが、

やはり夕食後すぐ横になり、あっという間に熟睡。

そのうちにラジオを聞きながら一人酒を飲んでいると、

突然起きて、「どこ行くの? ・・・ ・・・ なんだ、朝じゃないのか・・・」

寝ぼけたHiromiであった。

 

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