24/6/5-6 片品川水系・泙川湯之沢~広沢下降
6月になると、無性に「ひとり沢旅」に行きたくなるんです。
それは森の息吹や命の躍動に触れたくなるからだと思います。
「ひとり沢旅」ですから人気のないところを選びます。
孤独?
それは、全然気にならないですね。
心が満たされていればいいんですから。
もちろん、道義に反することはダメですよ。
前夜、泙川林道のゲートまで
ゲート前は車を止めると迷惑になりそうなので、少し手前の広めの路側帯に車を止めて一夜を明かす
装備を付けたら、しばらく林道歩き
自転車で行くこともできそうだけど、この道の崩落・落石具合を考慮すればあまりメリットはなさそうに思えた
もっとも青空に気をよくしながら行けば、歩きも存外楽しいものだ
平滝の手前から入渓
開けた流れにナメが美しい
堰堤を2つ左岸から越えていくつかの滝を巻き気味に通過すると湯之沢出合
湯之沢出合の滝は水量多くなかなかの迫力
左岸から龍ノ沢
大滝を見に行く
湯之沢は前半に滝が集中するが、おおむね巻くことができる
残置ロープに縋っての下降を2度こなすと流れは平凡になる
あとはとにかく河原歩きに徹すると広沢に出合う
シダの群生する左岸台地に居住まいを定めて幕を張る
宿が定まったならば、あとは周辺を徘徊
陽もまだ高いので湯之沢をしばらく詰めてみる
湯之沢は若干白濁した流れ
名の通り湯之沢上流から温泉成分が流れ出ているものかと思ったが、この白濁は鈴小屋沢からのものらしい
鈴小屋沢を分けてからは透明感あふれる流れとなった
それからは10m前後の滝がいくつか現れる
苔生した滝に清冽な流れが気持ちいい
1か所巻き気味に上がった以外は階段状
滑りに気を配れば問題ない
1420mの二俣で本流から離れ右俣へ
次の二俣も右へ進むとCo1598峰と1703峰の鞍部に出る
ここは気持ちの良い笹原となっていて、吹き抜ける風が心地よい
笹を踏む音
森のざわめき
蝉時雨
山や谷で自分だけの時間や情景に出会えた時
とても満たされるんです。
このためにここまで来たんだ!
これは運命だ!って。
ちょっと、言い過ぎですかね?(笑)
名残惜しさを残して下降を開始
尾根をまたいで広沢へ
広沢の下流は特に難場はない
幕場に着けばやることはたくさんある
そう思えば、自然と足も早まり湯之沢に合流
ここからはノンビリと、と言いたいところ
だけど余念なく沢旅の一夜を過ごすためには、ここからがなかなか忙しい
闇に咲く紅蓮花
熾火を肴に黒松仙醸
今宵、いずこに宿るかを知らず
熾火を見てると、想いは巡ります。
過去のこととか、これからのこととか。
明日があるなんて保証は何処にも無いんですけどね。
今日を生きた自信っていうのかな?
もちろん、単なる思い込みですよ。
でも、本当は不安なんです。
だから、いろいろ考える。
そして心を整える。
誰だってそういう時間が必要なんじゃないかな。
きっと明日もいい天気
樹幹から覗く星空に想いを馳せる
明けて見上げれば青い空
幕場に別れを告げて、往路を戻る
昨日歩いた渓も角度を変えれば違った色に見える
これからどうなるかなんてわからない
それでも未来に向かって歩き出す
一夜の余韻を背に歩く
生きていくって、選択の連続ですよね。
山でも、社会でも。
いろんな場面で、どう行動するか。
「善き行い」を選べば「偽善だ」と揶揄されるかもしれない。
「誰かの意見」に沿わなければ「自分勝手な奴だ」と批難される。
答えなんかないんです
あるとすれば、「誰のために行動するのか」ってことですよ
自分のため?
愛する人のため?
困っている人のため?
それとも、あなたを利用しようとしている人のため?
「大いなる自己満足」
それでいいんじゃないかなって。
sak