<筑波山の風景・16>
側壁フェ-ス
その昔、筑波でクライミングをした。
というのは良く聞く話だ。
今ではご法度になった山頂直下の「霞ヶ石」といわれる岩場はもとより、
丹念に歩き潰して行くと、いにしえのハ-ケン・ボルトの類は意外と多い。
なかでも、とある稜の側壁フェ-スはすっきりとしたラインに、脆さを感じさせない岩質。
中ほどにリングが一点確認できるが、一見、容易ではない。
おそらくは登られていたであろうこの岩場に再びトライする機会は巡ってくるのだろうか?
決して高さがあるところばかりではなく、この高さでの登攀というのは、如何なものかという箇所もあるのだが、当時の筑波山はれっきとしたクライミングスポットであったということだ。
今や岩場に着いた苔や支点の錆付きは時代を偲ばせる。
sak