2018/11/22 乾徳山旗立岩
わすれもの。
わすれものをする、ということ
それは悲しくなること
自分に腹が立つこと
そして、それにどうにか対処しようとすること
-山行前夜の出来事-
私事。
ここの所、忘れ物が多いなぁと薄々感じてはいたが、集合場所で山服に着替えているとクライミングパンツを忘れたことに気付く。
「自分の忘れ物もとうとうここまで進化したか・・・」
もはや開き直るしかない。
とはいえ、アンダ-ウェア(下)だけで山に行くわけにもいかず、この時間でもジャ-ジが買えるは店ないだろうかと脳内検索中。
パ-トナ-のkozくんから「これでよければ」と、手にはジャ-ジが。
「神かっ! 君は、神か!」
聞けば、この日の昼に行ったフリ-クライミングで使ったものが車中にあったらしい。
所々にチョ-ク跡が生々しいが、kozくんのナイス(な放置)プレイで事なきを得た。
このご恩は忘れません。
必ずお返しします故。
-山行当日の出来事-
道の駅まきおかで一泊。
暗いうちに大平牧場に移動して、もうひと眠り。
すっかり明るくなった6:45に出立。
大平牧場のおばちゃんに駐車料金を払って、適当に牧場を横切り林道に出る。
本当は林道を歩くのが正解みたい。
少し歩くと牧草地帯に石畳の登山道。
登山道はしばらく林道を縫うように行く。
黙々登ると扇平。
ここは月見石が程よい展望台。
雲がかかっているが、晴れていれば富士山が良く見える。
そこからは岩場が目立つようになる。
鎖や道標もありル-トは概ね判りやすい。
ケルンのある眺望良い大テラスを左に見て、その5m先を左に入ると正面に旗立岩。
なかなか立派だね。
このあたりまで来ると急に風が強い。
強風と防寒対策に留意して身繕い。
懸垂支点から50m一杯の懸垂下降。
途中のガレ場は落石注意。
そこから徒歩で下降。
岩場を回り込む形で基部に着く。
今日のメインイベントはkozくんのリ-ド&ツルベ検定といったところか。
ということで、クライムオン。
1P(Ⅳ:25m:フォロ-)
リッジ左側を登る。
支点は豊富、岩も安定しフリクションに不安はないが、岩が冷たく指が痺れる。
リッジ左上部が、核心か。
小ハングは右から。
落ち着いて足場を拾えば問題はない。
kozくん、淀みなくナイスリ-ド。
2P(Ⅲ:35m:リ-ド)
リッジを快適に。
困難はないが、支点は少ない。
キャメで支点構築してビレイ。
3P(Ⅲ:20m:フォロ-)
リッジの突端まで。
上から見ても下から見ても、見栄えのするピッチ。
なんかお買い得。
そこからは先行し、歩いて安定したテラス(「雨乞岩」とあった)。
ボディビレイでkozくんを迎える。
乾徳山の山頂は一投足だが、山頂を回り込んで頂上岩峰直下へ移動。
ここは登山靴で1ピッチ。Ⅲ級程度。(25mフォロ-)
途中、雨がパラついてくる。
明日にかけ寒気が入るとの予報が出ていたが、その前兆か。
山頂は数組がランチタイム。
我々は寒いし、雨がミゾレっぽくなってきたしで早々に下山開始。
幸い雨は強まることなく上がった。
往路を忠実に下って大平牧場。
登攀もあっという間で少し物足りなさもあった。
しかし、kozくんのリ-ドも安心して見ていられたし、ツルベの登攀手順も問題なし。
確実に収穫はあったはずだ。あとは場数です。
そして何より、すっきりしたリッジクライミングの快適さにクライミングを始めたあの頃を想い出す。
山はやればやるほど、行きたい山やル-トは増える。
しかし、時間の制約や仕事・家庭との両立など限界があるのも事実だ。
何か言い訳にして諦めてはいまいか。
自分を納得させてはいまいか。
そして、忘れようとしてはいまいか。
帰路、「行きたい山とル-ト」を問われて、ハッとした思いだ。
わすれもの。
わすれものをする、ということ
それは自我を守ること
あなたが今を生きているということ
そして、いつか取り戻すこと
-山行翌日の出来事-
kozくんから連絡。
「車中に自分の財布ないでしょうか?」
探してみると、助手席の下に財布発見。
さて、どうしたものかと一考。
適当な理由を作って仕事中にkozくんに届ける。
ということで、ジャ-ジの借りは早々に返せたわけだ。
自分のわすれものは、あとひとつ。
取り戻すのは、いつになることか。
sak