私、高校時代(一年生)の夏休みにアルバイトをしていました。
それは地元のキャンプ場でのアルバイト。
中学時代の友人が持ってきたお話なのですが、ちょうど暇ですし金はあったほうがいいと思い友人達と面接に行きました。
地元の鉄道(千葉県を走る小湊鉄道)が経営しているキャンプ場(中瀬キャンプ場)です。
面接会場は養老渓谷駅そばの食堂。
なんと、昼食をご馳走になりながらの面接でした。友人二人と私、そして面接官の鉄道会社の担当者一名。
全員、かつカレーを食べながらバイト料とバイト期間の説明を受けます。
バイト料は日中一日働いて日給3000円。泊り込みだと4000円。
おいおい、これってかなり安いじゃん・・・。
当時(1992年)、いくら田舎の高校生のバイトでもこれは安すぎるだろうと思い、断ろうと思いましたが、既にかつカレーをご馳走になっちゃってますから断りづらい。
結局、1週間程度バイトをすることになりました。
そうはいっても、何をしてよいのかわかりません。
すると、担当者のおじさんはこう言いました。
「大丈夫、ベテランがいるから」と。
何が何やら、いまいち理解できない我々はバイト初日に現場で集合することになりました。
そして、アルバイト初日。
友人二人はキャンプ場からは近所なので自転車で来れますが、私は同じ町とはいっても汽車(電車ではない)を乗り継ぎ、バスで来なければならないのでやや早めに到着。
キャンプ場入り口で集合して、そのまま管理棟へ向かうと待っていたのはお爺ちゃん、お婆ちゃん。総勢3名でした。
ははあ、ベテランの方ってこの人たちかぁ・・・。
あらゆる意味でベテランの方々です。年齢は聞きませんでしたが、あきらかに70歳以上の方々です。
その方々から仕事を教わります。
仕事といってもそんなたいしたことはありません。キャンプ場を廻って美化活動と修繕くらい。
ただ、この年は薪が足りなかったので、通常はやらない薪割りが追加。
友人二人は初日やって、なんと部活が忙しくなったから・・・とバイトを放棄してしまいました。
バイト料でも不満はあったんですが、なんと無責任な。
私も一緒に辞めようとは言われたのですが、なんといいますか受けた仕事はやはりやらないと気持ちが悪いのと、残されたじいちゃん、ばあちゃんに悪いという感情もありバイト期間満了までやることにしました。
バイト期間には泊り込みもあります。
ある泊り込みしている夜中に管理棟の扉を叩く音がしました。周囲は真っ暗です。
用心してドアを開けると、先に辞めた友人が来てました。ちょっと抜け出して家に来ないか?との誘いでした。
客もいなかったので、朝に戻ることにして友人宅へ行き、風呂に入れてもらってご飯までいただきました。
友人が言うには、自分が誘ったのに押し付けるようになってしまった私が不憫に感じたとのことで、ご飯をいただいた後、他の友人も来て朝まで高校生らしく楽しみました。
翌朝、管理棟に戻るとじいちゃん、ばあちゃんが既に来てました。
私は「すみません、ちょっと外出てました」と謝ると、笑顔でこう言って許してくれました。
「いや、いいんだよ。客もいないし、一人で寂しかったろ。」
なんか申し訳ない気持ちで再度謝罪です。
すると、じいちゃんがこう言いました。
「毎年ね、高校生をバイトで雇うんだけど皆途中で辞めちゃうんだ。あんたは残ってくれてるだけいいよ」と。
ほほう、皆投げ出してるのか・・・。
そりゃそうだ、この給料だものなー。
でもまあ、お陰ですっかりベテランの方々と仲良くなった私。薪割りのコツや客が残したスイカなどを食べさせてもらい、無事バイト期間を終了しました。
手にしたバイト代はたしか3万円程度ですが、何かお金では得られないものを得た気持ちとなりました。
まさにプライスレス。
ちなみにキャンプ場入り口で見つけた5000円札を見た時は、自分の泊り込み4000円の給料を改めて自覚させられましたが・・・。
今もやっているのでしょうか、あのバイトって。
現在はさすがに高くなっているでしょうけど、いい経験となりました。