さてさて、今年はありがたいことに、かつての仲間たちが私の住んでる房総へと足を運んで来てくれます。
今回は学生時代のバイトの先輩が訪ねて来てくれました。
バイト先は某有名なファーストフードのお店なんですが、当時日本一忙しいと言われてた店舗で仕事してた仲間の一人です。
さて、そんな先輩(年齢でも私より先輩)を今回は観光ご案内。
今回のミッションは「短時間」「お城」「鉄道」の3条件です。
この条件の下、観光の策を練らなくてはなりません。うーん、いかがしたものか・・・。
腕組み思案をしていた私に先輩から「いすみ鉄道で何かイベントがあるらしいから
それを見てみたい」とさらなるお題が。
そうですか、そうですか。条件をどんどん付きつけられて、逆に的を絞りやすくなった私。
それでは今回は、房総を走る二つのローカル鉄道を味わってもらうプランをご提案いたしましょう。
策はこうです。
東京駅発7時15分(特急『わかしお』)勝浦行きに乗車⇒8時33分大原駅着。9時10分大原駅発(いすみ鉄道(急行)上総中野行き)に乗車してもらい、10時13分に上総中野駅着。
この急行は観光列車として運用している国鉄型キハです。
で、上総中野にて合流したら車で周辺(大多喜、市原、いすみ)を巡り(ほぼ国道465号線沿い)、帰りは再び上総中野駅へ。
上総中野駅発16時25分(小湊鉄道(普通列車))に乗車し、五井駅着17時38分。五井からは高速バスにて五井駅東口から発着している新宿駅(バスタ新宿)行き18時に乗車して、新宿着が19時30分。
滞在時間は6時間弱ですが、日帰りかつ自動車以外の交通機関利用ということならいい策ではないかと。
この肝は帰りの上総中野駅でのいすみ鉄道と小湊鉄道の両並びからの同時発車です。しかもいすみ鉄道側は国鉄型のキハ。
そう、こんな状態になります。
これなら乗り鉄の先輩も満足してもらえるのではないか?と練った今回の観光プランです。
ちなみに五井駅から高速バスは先輩からの提案で、当初は大多喜からの高速バスを提案したところ却下されてこちらのプランに変更。
さぁ、先輩にこのプランを提案いたしました。こちらのプランでのデメリットは先輩が朝早く東京駅に到着しなくてはならないことと、特急料金等を負担してもらう必要があります、果たして先輩の答えは・・・。
先輩「了解!!」
今回の時刻表とのにらめっこをしながら、西村京太郎サスペンスばりの提案なんですが、快く了承を得ました。
そして当日。
集合場所の上総中野駅へ車を乗りつけた私。
到着前の静かな駅周辺を撮影していきます。
まずは駅のホームなどでしょうなぁ。列車が到着するとなかなか落ち着いて撮影できないですし。
個人的には有人駅時代からあるいすみ鉄道側のホームの屋根などいい味を出してるので好きなのですよ。
昔はいすみ鉄道側が「かずさなかの」小湊鉄道側が「かづさなかの」と「ず」「づ」の違いがあったように記憶してます。まぁ、細かいトリビア情報ですけどね(笑)
駅からちょいと歩いていくと住宅街と光善寺への道です。
いいなぁ、この雰囲気。
ちなみに稲だかを干してるような造作物を作っていたばあちゃん、小さな子供用のいすがあったのですが「その椅子はどかしてくれよ、せっかくのインスタ映えがもったいないからさ」とばあちゃんからまさかの「インスタ映え」のフレーズを聞けるとは!!
「観光の人かい?」と尋ねられたので、地元に住んでる者だが、東京から友人が観光に来るので周辺を案内するために散策している旨を伝えると、「そうかい、愉しんでくれるといいね」とニッコリ笑って再び作業に戻っていきました。
私も「じゃまたお邪魔するかもしれませんが、よろしくお願いしますねぇ」と挨拶を交わして再び駅へと戻ります。
駅へと戻りつつ、再び周辺を撮影。
近くにできたカフェの看板に
神社への案内と
お寺への案内
ありふれた日常的な光景ですが、これが異邦人には堪らない風景の一つにもなるのです。
そろそろ到着時間になるので駅へ。
ついに到着しました。
予想通りに観光客が多いです。
先ほどまでの静寂が嘘のようです。
ここで先輩と合流。
先輩からは「途中さ、森みたいな場所を通り抜けたんだけど、木の枝が列車の窓に触れてたんだよな、あれって切らないの?」との質問。
そんなことは鉄道会社さんに聞いてもらいたいもんですが、そう返しては面白くありません。
私「いい経験されましたねぇ、東京や横浜じゃなかなか経験できませんよ。あれは
アトラクションですから(笑)」
先輩「へ?アトラクション??」
私「そう、アトラクションの一つと考えてください。遊園地のアトラクションなんかで水がかかったりすることあるでしょ?あれと同じだと思えばいいんですよ(笑)」
先輩「そうか・・・」
こういうのは勢いが大切です。バシッと言い切れば納得しますから(笑)
さてさて、車に乗っていよいよ地元巡りを開始です。最初は小湊鉄道の駅「養老渓谷」駅です。
休日とあって観光客が集まってる駅前です。
噂の逆開発。
小湊鉄道の車両と駅舎内。
ここで先輩「渓谷って滝とかに連れていってくれるの?」との質問。
私「いえ、今回は時間もありませんのでそれはまた次回以降のお楽しみに取っておきましょう。お次はご要望のお城ですよ」
粟又の滝とか立ち寄ったら時間が無くなってしまうので、これは次回。
再び大多喜町へと戻った我々は大多喜城へ。
千葉県最古の水道を観て
いよいよ登城です。
内部で展示されてる甲冑を見学してから再び車へ。
お次はいすみ市にあるいすみ鉄道国吉駅へ。
ここでは静態保存されているキハ30-62が特別に内部公開(期間限定)されているのですよ。
いやはや、木原線廃止から30年。30年ぶりに内部に入ったら、案外と小さいって感じがしました。
おそらく、私の記憶では当時小学生だったので、もっと大きく感じていたのでしょう。
案内をしてくれるのは「いすみ鉄道応援団」の皆さん。
誘われるままに車両正面にやってくると
なんと方向幕を動かすので、撮影してみては?というご提案!!
これは撮影しておくべきでしょう。
懐かしい木原線時代の方向幕。けっこう種類があったんだなぁと感心すると同時に、国吉って方向幕があるということは国吉止まりってのもあったのかな?
空もいい感じで高いなぁ。ポスターに使えそうなくらいにキレイだ!!
駅内部へ。
ここで通常列車を見送った我々は、「
ポッポの丘」へ。
この日はディーゼル機関車を動かすデモンストレーションも行われていて、連結シーンなども再現されておりました。
鉄道も素晴らしいのですが、なんといってもこの見晴らしの良さです。
秋の高い空の下、稲刈り後の田んぼが広がる風景・・・。
日本の当たり前の里山の風景がリアルに目の前にある光景は、私が魅せたい「田舎」の魅力の一つです。
時間は13時を回りましたので、再び大多喜へ。
ランチ時間が終了の頃なので、ショッピングセンター内にある地元の飯を食べさせてくれるお店に入店しました。
私はかつ丼(房総豚を使用)、先輩は里山膳を食べました。
この後、大多喜の街を散策。
役場や渡辺家住宅などを散策し、大手門を撮影。
ここで先輩からまたまた質問。
「房総の小江戸って、川越か?」と。
先輩は埼玉県出身なので、「小江戸」という呼称に敏感です。
私「だから「房総の」と付けてますよね?関東とは書いてませんから、川越から文句は言えないと思いますよ(笑)」
先輩「ぐぬぬ・・・」
お次はいすみ鉄道の大多喜駅へ。
留置している車両を撮影していると
ここでまたまた先輩からの質問
「あれって国鉄型のキハじゃん。なーんだ、新型って黄色だけなんだなぁ」と。
それがこれ
私「いえ、立派に新型車ですよ。外身は国鉄型キハに似せてますが」
先輩「またまた。どう見たってキハだろ!!」
どうやらこれまで質問したことをとんちのような回答されてきた先輩はこの時ばかりは鬼の首を取ったように主張します。
でも甘い(笑)
私「よく見てください。国鉄型のキハとは異なり、バックミラーやら電光掲示板などがありますよね。本当は走ってる場面を乗車してもらうと一番わかるんですけど、あれは最新型なんですよ」
先輩「・・・、本当だ。新しい・・・」
私「例えるなら外身は旧型の蒸気機関車だけど中身は超最新式の設備になってる「999」みたいなもんだと思ってもらえるとイメージしやすいかと」
先輩の年代なら「999」ネタで説明するとより理解しやすいのです。
先輩「なるほどなぁ、言われてみればそうだなぁ」
ほらね。
ちなみに売店で「い鉄揚げ」を購入した先輩、これにも「銚子電鉄の「ぬれ煎餅」のパクリじゃ?」って質問に「いえいえ、こちらは揚げてますから」と返す私。
まぁね、疑問に思うということはそれだけ興味があるってことです。先輩の場合、私がどんな回答をするのか?って楽しんでるようでもありましたが(笑)
さて、そろそろ上総中野へと戻る時間帯です。
大多喜駅はこれにて。
上総中野駅へと戻った我々。列車が到着するまで周辺を散策です。
先輩「でも思ったよりも元気そうで良かったよ。最後に会った退院後の時はさすがにヤバいって思ったから」
私「おかげさまでなんとかここまでこぎつけましたよ。まだまだ油断はできない状態ではありますけどね」
と、私の体調を心配してくれつつ
先輩「今日は本当に楽しかったよ。いいリフレッシュができた。また来るよ」
私「それは良かった。でもまだお楽しみは残ってますよ。この後は小湊鉄道をじっくりたっぷりと乗り鉄していただくのと、今回のサプライズとしていすみ鉄道、小湊鉄道の同時発車を体験していただきますから」
先輩「なんつーか、こんな小さい山の中の駅が接続駅ってのも信じられないけど、そんなに盛り上がるのか??」
私「それは体験してからのお楽しみです」
やがてやって来たいすみ鉄道と小湊鉄道。
乗客だけでなく車で集まる鉄道ファンなどの雰囲気に先輩も驚いた様子で
「どっからやって来たんだ??」とつぶやくのみ。
さぁ、いよいよお別れの時です。
またの再会を約束して、列車の扉は閉まりました。
【上総中野駅】いすみ鉄道・小湊鐵道 同時発車風景
列車が過ぎるまで手を振って見送りました。
その後、先輩からは都内で渋滞にハマって、高速バスが1時間ほど遅れて新宿に到着したと連絡がありました・・・。
ま、とりあえず今回の旅も成功のうちということで。
今回もお疲れさまでしたm(__)m