エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

ビジネスライクで生きましょう?? 日和見の正義と真実

2015-01-07 14:54:57 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 信頼のもとなるスピリット。その悦び。

 p98の14行目途中から。

 

 

 

 

 

 

現代の精神科医がサラリーマンの幸せを推薦するのが、消費者たちにより上手にアピールするためであるように、聖職者の中には、神が人を大事にしてくださるのは、人が成功するためだと薦める者もいます。「神様を自分の友達としなさい」と言うのは、ビジネスにおいて神様を仕事仲間とすることであって、人を大事にしたり、正義を実現したり、真実であることにおいて、神様と共にあるものになるためではありません。兄弟姉妹を大事にすることが、人事における公平となり、神様が宇宙株式会社全体を指揮する、他人行儀な社長に変わってしまいました。社長がいるのは分かるし、社長がショーが取り仕切っていることは分かっているし、社長にお目にかかったためしはないけれども、社長が指揮を執っているのが分かるのは、自分の職務を果たしている時だけ、という感じです。

 

 

 

 

 神が死んだあとは、死んだ神は都合のよい社長のようですね。仕事をしている時だけ、ちょっと気になる存在程度に格下げされちゃってますね。

 ですから、死んだ神様と私どもの関係は、人格的な関係じゃあなくて、ビジネスライクな関係です。別に人を大事にするわけでも、正義を重んじる訳でも、真実を大事にするのでもない。それらのことは、別に神様とは関係ない、という態度ですね。それだと、「明日は明日の風が吹く」になっちゃって、日和見以上の正義や真実はなくなっちゃうのにね。

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生かされている、不思議な命 3訂版

2015-01-07 10:41:30 | エリクソンの発達臨床心理

 

 自分の命。実に不思議ですよね。昔、保育士を目指す20才前後の人たちに話したことがあります。それは、昔ビートたけしさんがやっていたTV番組「たけしの万物創世紀」で「赤ちゃん 素晴らしき日々」と題して、赤ちゃんがどのように誕生するのか、受精から誕生、成長までを上手くまとめた番組があって、それを見てもらってから、計算したことがあります。1人の赤ちゃんが誕生する確率。女の赤ちゃんの時にできる卵母細胞が700万個、1人の男性が生涯生産する精子の数、1日1億として、10才から80才まで生産し続けるとして、1億×365日×(80-10)≒2兆5000億。1組の男女から2人の子どもが生まれるとしたら、1人の赤ちゃんが生まれる確率=2/700万×2兆5000億となります。天文学的数字です。ほとんど一人の赤ちゃんが誕生する確率は奇跡的。年末ジャンボ宝くじの7億円が、何回連続して当たる確率でしょうね。

 数字じゃぁ、味気ない。

 なぜこんな話を持ち出したか、というと、エリクソンの『アイデンティティとライフサイクル Identity and the Life Cycle』の中に、素敵な文章があって、それをご紹介したいと思った訳ですね。前置きが長くなっちゃって、ごめんなさい。その文章は1行です。

 

 

 

 

 「もし、私どもが生きていることが許されていることを学びさえすれば、自分が成長していくための(ご)計画は、全て備わっています。」

 

 

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他者の誠実さに自らを委ね続ける態度 改訂版

2015-01-07 06:55:08 | アイデンティティの根源

 

 ガンディーにとっては、敵も味方も皆兄弟。傷つけていい相手などいないのですね。

 p239最後の行から。

 

 

 

 

 

 敵でも味方でも、この行動指針を理解するのは容易いことではありません。労働者たちが弱り出した時に、ガンディーはすぐさまに、「断食宣言」をしました。ガンディーの友達の中には、断食宣言などは「バカげているし、非人間的だし、一層悪くなる」と考えた人もいましたし、ガンディーもそうかもしれないと認めました。あるいは、中には涙にくれるものもありました。しかし、ガンディーは次のように、言います。「私は皆さんにお示ししたいんですね。私は皆さんと遊んでいるわけではありません」。私どもは言いたくなるのですが、ガンディーは本気で熱心でしたし、ガンディーが本気で熱心であったという事実によって、地域の良心の課題が、すぐにでも、国家的な価値にまで高まったのでした。この魂にも響くアピールの中で、ガンディーが様々な形で強調したのは、次のような根源的な心の強さでした。それは、それなしには、どのような課題も「美徳」たりえないものです。その根源的な心の強さとは、正義を志す意志、規律ある目的、どんな仕事に対しては払われる敬意、そして何よりも、他者の誠実さに自らを委ね続ける態度、のことです。

 

 

 

 

 

 圧倒的な箇所ですよね。ガンディーは、「根源的な心の強さ」を教えてくれます。これは、エリクソンの発達危機に沿っているのが面白いですね。will 意志は、2番目の発達段階の幼児前期の発達危機、autonomy vs shame & doubt、自分の感じを頼りに生きていいという感じ=自律している感じ 対 自分の感じに従うことが恥ずかしくて、自分を疑ったらいいのか、相手を疑ったらいいのか分からない感じ のぶつかり合いを、自律している感じを豊かにすることで乗り越えた場合の、美徳でしたでしょ。でもただの意志じゃぁない。正義を志す意志。それは一番上等な意思。次のpurpose、目的は第3場面の発達段階、児童期の発達危機 initiative vs guilt、自分の感じを行動に移してもいい感じ=積極的に自発的な感じ 対 自分の感じを行動に移しちゃダメでしょという感じ=ダメな子という感じ を、積極的で自発的な感じを豊かにすることで乗り越えた時の美徳がです。でもただの目的じゃぁない。規律のある目的。これも一番上等な目的です。

 でもね、エリクソンが4つ目に上げたtrustfulness、他者の誠実さに自らを委ね続ける態度。これが最も大事、要なんですね。これは、相手から裏切られても、信じ続ける態度です。 そして、これは最初の発達段階の乳児期の発達危機、根源的信頼感が根源的不信感に勝るときの、大文字のHope、突き抜けたデッカイ希望ですね。これが何よりも素晴らしく、言うは易く行うは難し、なものですね。

 

trustfulness。

 

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