エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

年寄りにも大事な、根源的信頼感=神様

2016-03-19 09:20:51 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
もう1つの譬え話 低い姿勢をとるイエス 改訂版
 二コラ・プッサン「キリストと姦淫の女」1653 ルーブル美術館  昨日は「ブドウ園の労働者」の譬えでした。 今日はもうひとつ、「姦淫の女」の譬...
 

 80、90になっても、赤ちゃんの頃から培う根源的信頼感が大事

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の、p.113の、下から6行目途中から。

 

 

 

 

 

私どもが根源的に信頼する特定の源が何であれ、希望がどれだけ厳しく挫かれそうになったとしても、根源的信頼感は、私どもを見限ったりなど、しないもんですよ。根源的信頼感のない人生など、考えられません。もしも、皆さんが、生きている手応えに満ちていて、恵みと閃きになるかもしれないものを、さらに頂ける、という希望に満ちていれば、生き甲斐が感じることになりますよ。私は信じているのですが、年寄りも、もしも、90になって、響き合わないものと折り合いがつけば、年寄りの達観への道に進んだも同然でしょう。

 

 

 

 

 

 ここを読むと、ジョアンは、『旧約聖書』のイザヤ書第49章15節を念頭に置いている感じがありますね。

 「たとえ母親があなたを忘れようとも

 私はあなたを決して忘れない

 根源的信頼感とは、神様を信頼することと同じです。

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発達トラウマ 心理的支援の3つの方法

2016-03-19 08:08:46 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
強さの在り処
  自然の中で、活かされている実感をイキイキと新たにされたいですね。 The Sense of Wonder 『不思議を感じる心』から p100の第2パラグラ...
 

 今日は、The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の、いつもの続きは一回お休みします。

 さっきのブログ発達トラウマ ― 無知な「専門家」のミスリードのついでに、序章からp.3の第2パラグラフを翻訳しときます。

 

 

 

 

 

 トラウマの背後に潜む根源的な過程について、私どもが知る知識が猛烈に増大したおかげで、トラウマによるダメージを和らげるあたらな可能性ばかりではなくて、トラウマのダメージを取り消しさえする新たな可能性に道が開かれました。トラウマ・サバイバーたちが≪いまここ≫を生きていると実感し、自分の暮らしが進むように手助けする、脳が自ら備えている適応力の高さを利用する治療法と経験を開発することが出来ています。3つの道があります。

1)トップダウン 話をして、他者との絆を結び(直し)、自分に起きていることを、自分でも知り、理解する道。トラウマの記憶に折り合いをつけるもの。

2)薬を用いることによる道。不適切な警戒反応を締め出す薬を使います。薬以外の技術を使って、脳の情報処理のやり方を変える道

3)ボトムアップ トラウマがもたらす、無力感、激しい怒り、気分の落ち込みに、心深く、はらわたに沁みる位に対抗する経験を身体がする道

この3つの内、どれが一番トラウマ・サバイバーに効くかは、経験的な問いですね。私が治療している人のほとんどは、この3つの組み合わせです。

 

 

 

 

 

 このように、1)心理療法、2)薬物療法、3)鍼灸・マッサージ・ヨガなどのボディーワークと、その組み合わせが、発達トラウマに有効です

 先ほどのブログで、被災地の心理的支援のミスリードをしている「専門家」は、ヴァン・デ・コーク教授が30年に渡って、臨床と研究をしてきた、この3つの道の1つもやってないのです。

 あとは「推して知るべし」です。

 

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発達トラウマ ― 無知な「専門家」のミスリード

2016-03-19 04:54:11 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
地獄の方が天国よりも現実味があるのは、なぜ?
  中世のカトリック教会には、さまざまな伝説が出来上がっていたらしい。 Young Man Luther 『青年ルター』のp188の第4パラグラフから。まだま...
 

 今現在の、被災地の心理的支援が、なぜうまくいかないのか? 

 それをシリーズで考えてみたいと思います。

 この問いの答えは、単純ではありません。いくつかの要因が重なっているからです。ですから、犯人捜しをするのが、このブログの趣旨ではありません。

 いくつかの要因が重なっているのですけれども、一つ一つを取り上げながら、最後に、それをまとめて考察する、というように、構想しました。今日がその第一回目になります。

 今日取り上げるのは、被災地支援に来ている一部専門家が、発達トラウマのことに無知だ、ということです。「発達トラウマ」という呼び名さえ知らないのです。ということは、その「専門家」は、ヴァン・デ・コーク教授の文書は一度も読んだことがない、ということです。なぜなら、「発達トラウマ(障害)」(developmental trauma (disorder))という言葉は、ヴァン・デ・コーク教授が明確化した概念であり、呼び名だからです。ある「専門家」は、このブログの管理者に対して、「『発達トラウマ』と言う言葉があるの?」と訊いたくらいですからね。まあ、その方は、ある意味正直な人ですね、がしかし、いかに、一部「専門家」が発達トラウマに無知か、を如実に物語るエピソードです。

 トラウマと言うと、極々例外的だ、と従来考えられてきたわけです。ベトナム戦争や湾岸戦争に行ったり、大災害、事故や事件に巻き込まれないかぎり、トラウマを負うことはない、と考えられてきました。ヴァン・デ・コーク教授も、30年前はそう考えていたようです。

 しかし、トラウマは、そういう一部の人のものではないことがハッキリした来たのですね。それを、ヴァン・デ・コーク教授は「トラウマの再発見」とタイトルで、The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第1章に書いてるくらいです。まだ、このブログでは翻訳してませんが。

 ヴァン・デ・コーク教授も最初は、ベトナム帰還兵の心理的治療をしていたんです。しかし、ヴァン・デ・コーク教授は、虐待やネグレクトを受けた子どもは、ベトナム帰還兵と同じ心理的な課題を抱えていることに気付いたんですね。それは、個別の臨床・治療をしていたからです。

 それから、ヴァン・デ・コーク教授は30年間の臨床と研究を通じて、発達トラウマが人間に対して深刻な影響を与えることも分かった来たことが重要です。発達トラウマは、人間の脳の発達を不可逆的に歪ませる、ということです。ヴァン・デ・コーク教授らの研究に触発されて、福井大の友田明美さん等のグルーブや、浜松医大の杉山登志郎さんのグルーブが、日本でも、いかに、発達トラウマが脳にどれだけ深刻な影響を及ぼすか、ということで研究成果を発表しています。

 被災地にも、個別の臨床をする専門家も来ていますから、そういう本物の役立つ臨床家は、被災地でさえ、狭い概念の震災トラウマで苦しむ人は少数で、圧倒的多数が、広い概念である発達トラウマで苦しんでいる現状をよく知っています。このブログ管理者も、そういう本物の臨床家・研究者を何人も知っています。

 しかし、残念ながら、被災地の心理支援をリードしている一部専門家が、発達トラウマを知らないばっかりに、被災地の心理支援をミスリードしているのが、悲しいかなニッポンの現状なのです。アメリカの30年前の認識でしか、被災地支援の枠組みが出来てない、というだけではなく、その枠組みを現実に合わせるのに、その無知な「専門家」が邪魔をしているのです

 

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「バレなきゃいい」は、結局バレル!

2016-03-19 01:02:34 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
もう1つの譬え話 低い姿勢をとるイエス 改訂版
 二コラ・プッサン「キリストと姦淫の女」1653 ルーブル美術館  昨日は「ブドウ園の労働者」の譬えでした。 今日はもうひとつ、「姦淫の女」の譬...
 


 

 弱い立場の人に近づく時には、自分は、詐欺師みたいな人かもしれない、と思って関わることが、とても大切です。自分が「良いこと」をしているつもりの人に限って、詐欺師になっていることに気付かない大バカ者です。それは、自分が「頭が良い」と思っている人に限って、お目出度いトンチンカンに決まっているのと同じです。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog より、p.213、下あたりの途中から。

 

 

 

 

 

 ありがたいことに、判事さんが私どもの提案を採用してくれまして、緊急措置として、ジェームズとその兄弟たちを、マーレとマーレの夫の元から移送しました。陪審員は、そののち、ジェームズが養母から虐待され、養父もそれを止めなかったことを認めました。ジェームズの母親がジェームズの言葉と行動を捻じ曲げて、ジェームズを問題児にデッチアゲ、自分の異常性を隠していたという証拠もありました。養父母の5人の子ども全員に対する親権は、その内の一人は実の子どもでしたが、停止され、犯罪的な児童虐待の罪で、告訴もされました。

 

 

 

 

 

 「ばれなきゃいいや」は、結局は白日の下にされされることになります

 広島の中学3年生自殺事件でも、学校がいかにいい加減ないかさまをしているかが明らかになりつつありますもんね。

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