エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

祈りと言葉の力

2016-03-17 08:38:45 | アイデンティティの根源

 

 

 

 
自然と最深欲求
  自然の中を冒険することには、きっと深い意味があるに違いない。 The Sense of Wonder 『不思議を感じる心』から p100の第2パラグラフか...
 

 

 神様から選ばれた人は、老人みたいであると同時に、いつでも、子どもみたいでもあるらしい。叡智と、陽気で楽しい感じが同時にある、ということです。

 今日は、Young Man Luther 『青年ルター』、第Ⅷ章 終章(エピローグ)のp.262の、第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 でもね、一流の改革者の危なっかしいこととは、大衆に影響力があるということです。今の時代、この危険を、ガンディーの人生と影響力に見てきましたね。ガンディーも、祈りの力を信頼していました。ガンディーが断食し、祈りをする時、大衆も、イギリスでさえが、かたずを飲んだものです。祈りのおかげで、ガンディーやルターは、高きも低きも聴き入れる言葉を語る力が得られたので、この2人は、言葉の力にある、人を目覚めさせる力ばかりではなく、人を自制させる力を当てにすることが出来ました。

 

 

 

 

 

 言葉の力には、人を目覚めさせる力と、人を自制させる力があると言います。いまのニッポンが、これだけウソとゴマカシが溢れているのは、目覚めにも自制にも欠けているからだとすれば、それは言葉の力を人々が信じていないからしょう。当てにしているのは、お金と権力だけ。私どもが、いかにおバカなのかが分かります。「ペンは剣よりも強し」、「戦車は言葉の力を破壊しつくすことなどできない」という歴史的真理を知らないのですから。

 言葉の力を信頼できないのは、さっきのジョアンの文書からも申し上げたように、祈りをいまのニッポン人は忘れ去ってしまっているからですね。

 

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たくさんのものを失くした先に残るもの

2016-03-17 07:50:51 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
的外れな教え
  罪を何かの行為に結びつけることも、どうなんでしょう? それは救いよりも罪責感だけを強調することになりがちです。罪はあくまで「的外れ」なんですからね、 Yo...
 

 

 80、90になっても、生きてくるのが子どもの頃から培った人間力ですね。

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の、p.113の、第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 80、90にもなれば、たくさんなものも失いがちです。なかには、縁遠い関係を失う場合もあれば、深くもあり近しくもある関係を失くす場合もあります。両親、連れ合い、子どもを失くす場合もあるでしょう。たくさんの、対処しなければならない悲哀があります。それは、死の扉がすぐそこに開いているということがハッキリしているばかりではありません。

 

 

 

 

 

 80、90にもなれば、たくさんのものを失う悲哀をなめなくてはなりません。エリクソン夫妻には、ダウン症の子どもがいましたし、その子は親よりも先に亡くなりました。でも、人間には、最後までなくさないものが少なくとも一つだけあるそうですよ。

 ソレハナニカシラ? 

 それは、人を思う気持ち、宗教的に言えば、祈りです!

 

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発達トラウマを抱えている人は、実は非常に多い。

2016-03-17 04:26:25 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
内村鑑三と「謙遜」 改訂版
  今日、NHKの「こころの時代」で、鈴木範久先生解説の「道をひらく 内村鑑三のことば」が最終回でした(再放送は21日(土)13時から教育テレビで、http://...
 

 

 テキサス大学のペネベーカーの実験は、面白そう。どんな結果が出たのかなぁ?

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第14章 Languare : Miracle and Tyranny「言葉 :奇跡も残虐も(、もたらすもの)」p.241の、ブランク後の、第5パラグラフから。

 

 

 

 

 

 学生たちは、この研究を、とっても真面目に受け止めました。それまで誰にも告げたことのない秘密を打ち明けた学生もたくさんいました。涙ながらに答えを書いた人も多いし、助手の人たちに、こういった経験に心奪われていた、と打ち明けた学生もたくさんいました。200人の参加者の内で、65人が子どもの頃のトラウマについて回答しました。一番多いのは、家族を亡くしている話で、女性の22%、男性の10%が17歳になる以前に、性的なトラウマがあったことも報告しました。

 

 

 

 

 

 このペネベーカーさんの実験では、33%、3人に1人がトラウマについて報告していることが分かります。女性の性的トラウマが22%というのも、ビックリですね。じゃあ、日本はどうなんでしょう。発達トラウマと言ったら、日本の方が、アメリカよりも多いと私は考えますね。

 発達トラウマを抱えている人は、実は非常に多いのです。

 

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一番残忍な人ほど、医療・福祉・教育の仕事をやりたい

2016-03-17 04:00:16 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
福島第一原発事故の現在
毎日新聞より 福島原発事故の報道が、めっきり減ってます。でも、今も放射能が漏れ続けているはずです。「アンダーコントロール under control」だとしたら、放射能が漏...
 

 

 弱い立場の人に近づくのは、神様みたいな人と、詐欺師みたいな人玉石を見極める眼が私どもには必要ですね。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog より、p.213、上あたりから。

 

 

 

 

 

 メドウの失敗を知って、ミュンヒハウゼン症候群を、ある種の児童虐待だとすることを疑う人も出ましたけれども、マーレやビデオにとられた親たちみたいに、助けや医療関係者からの関わりが貰いたいがために、自分の子どもたちを傷つけている親がいるのも確かです。ミュンヒハウゼン症候群の母親に生まれた子どもの内、約9%の子どもが、母親の手で掛かって、死んでいますし、重傷を負わされたり、多くの不要で、しかも、苦痛を伴う手術を受けさせられている場合もたくさんあります。残念なことに、ミュンヒハウゼン症候群の原因はよく分かりませんから、ミュンヒハウゼン症候群の診断をする手掛かりはほとんどありません。ミュンヒハウゼン症候群は男性には少なく、医療・福祉分野で働く女性の割合がとっても多いんですね。

 

 

 

 

 

 弱い立場の人の近くには、少数の神様みたいな人と、たくさんの普通の人と、たくさんの心貧しい人がいるのが普通です。心貧しい人とは、意識の上では、「子どもが好き」だとか、「ありがとうと言われるのが遣り甲斐です」などというのですが、自信のない場合がよくあることなんですね。自信がありませんから、自分より弱い人が近くにいることが都合がいい。それで、医療・福祉・教育などの、広義のヒューマサービスには、その手の人がごまんといます。弱い人と比べたら、「自分の方がマシだ」と感じることが出来るからです。

 ですから、その極地のようなミュンヒハウゼン症候群の人が、医療・福祉関係に働く女性に非常に多い、というのは、「そりゃそうだ」と感じます。

 一番残忍な人、一番自信のない人が、医療・福祉・教育などの仕事をしたがるわけです。ですから、注意が必要です。

 自分の本音、自分の無意識、≪本当の自分≫を良く意識することが、いつでも、何度でも必要です。

 

 

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