エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

釧路の事件に寄せて  : 「信ずべき本物」と「恥知らずの悪役」

2016-06-22 02:18:59 | 聖書の言葉から

 

 

 

 釧路のイオンモールで、また、無差別殺傷事件がありました。「またかぁ」、「近所じゃぁなくてよかった」、「また、何で…」、「世も末だなぁ」…。いろんな感慨を抱いた方もあるでしょう。

 でも、この事件が、今の子どもの多くと結びついたものだ、ということを理解している人は稀でしょう。あくまでも「他人事」、「私とは何の関係もございません」というものでしょうね。

 「とんでもない誤解だ」と私は申し上げています。今の子ども達の半分が、発達トラウマ障害(DTD)と言っていいからです。それは、親が長時間労働やビョーキの人が多く、「長時間労働」でも、「ビョーキ」でも、それに何の疑問も抱かずに、無思考、自動操縦で暮らしている人が圧倒的多数だからです。率直過ぎで、ゴメンナサイね。従って、多くの子ども達はネグレクト、ホッタラカシ

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもは、赤ちゃんの時に肌身に感じて納得してほしい≪根源的信頼感≫=愛着を身に着けずにしまっている子どもです。ですから、自分の値打ちを実感できないので、自分を「ガラクタ」と見なしています。また、大人や世間を「どうせ当てにならないもの」、「うるさいことは言っても、善からぬことしかしない奴ら」と見なしています。ですから、発達トラウマ障害(DTD)の子ども等は、基本が、恨み、辛みの塊です。あるいは、その背景には、不信と不安の塊があります。

 このような発達トラウマ障害(DTD)の子どもが回復するためには、関わる大人の「本気」と、一流の「信ずべき本物」とがなくてはなりません。それは、誠実で正直で、真摯なやり取りのなかで、何とか伝わるものなんですね

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インターメッツォ : 信頼して人生を歩む、ということ

2016-06-22 01:40:23 | 聖書の言葉から

 

 

 

 

 

 今宵は、1人の無名の女性の言葉を学びます。その女性は、西村秀夫先生の奥さん、西村董子さん。世田谷は深沢のご出身。トルストイを岩波文庫に翻訳した中村白葉のご親戚とか。『いつくしみふかき 主の手にひかれて 西村董子送別の記録』(1999)より。

 

 

 

 

 今までも、之でもかこれでもかと試練を与えられたが、それと同時に何かのがるべき道も必ず備えていた頂いて来た。がけっぷつまで行かなければならないが、がけっぷちまで行って、そこでおちずに立ち直らせていただくことが何回もあった。だから、試練がなく平穏無事でという訳には行かないが、滅亡に至らずに、何かを頂いて歩き続けることを許されて来た、というのが実感である。

 

 

 

 

 

 いつも、讃美歌を歌う時は副旋律を歌って、ハーモニーを付ける役割。西村秀夫先生が理想的な話をすれば、その西村先生も理想的には行かないことを正直に、ユーモラスに語る人でした。

 神様を心の底から信頼して、人生を歩み続けた人だと、強く感じる、私にとって一生忘れることができない方です。

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驚くべき悦び

2016-06-22 00:37:38 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもは、演劇トラウマプログラムを受けることで、自分を取り戻し、行動と気持ちをコントロールする力育てることができます。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.344の最後のパラグラフから。

 

 

 

 

 

 シェークスピアは、変革期に物を書いていた訳です。それは、伝承によるコミュニケーションから、書かれたものによるコミュニケーションへと、世界が動いていた時代です。当時はほとんどの人は自分のサインをする時に、✖(訳注:「名前も書けません」、文盲を意味する)を書いていたんです、この子ども達も、それぞれが変革の時期に直面していたんです。ほとんどの子どもが、自分の意見をハッキリと口にできませんでしたし、中には本が読めない子どもも、いたくらいです。もしも、この子ども等が四文字の卑猥な言葉に頼るのなら、それは、彼らが簡単にはへこたれないことを示すだけじゃぁなくて、自分は何者で、何を感じているのかを人に伝える言葉を他には1つも知らないから、ということも示すことのなるでしょ。この子らも、言葉の豊かさと力に気が付けば、腹の底から楽しめる場合が多いですね。

 

 

 

 

 

 言葉って、素晴らしいですね。卑猥な言葉しか使わないのは、バカだからではありませんいろんな言葉を学んだり、その言葉と結びついた、素敵な体験をしたりするチャンスに恵まれなかっただけ、ということがほとんどでしょう。

 かくして、言葉の豊かさとそれを裏付ける素敵な体験ができれば、「シェークスピアの刑」に処せられた青年は、驚くべき悦びを示します。ブルース・ペリー教授が関わったジャスティンみたいな笑顔この青年らも微笑んだことは間違いありません。

 

 

 

 

 

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対人関係が弱い発達トラウマ障害(DTD)の子どもも、やり方次第で人と仲良しになれる

2016-06-22 00:22:17 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 

 

 発達トラウマ障害DTD愛着障害の子どものセラピー《根源的信頼感》を豊かにするためには、何よりも。セラピスト自身の根源的信頼と、それに基づいた賢慮が必要です。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.132の最後のパラグラフから。

 

 

 

 

 

日に日に、ジャスティンは私と幾人かのスタッフと仲良しになりだしました。さらに、ジャスティンは、ユーモアのセンスを示すサインも出すようになったんです。たとえば、「ウンコを投げつけること」は、スタッフに怒られると分かっていました。そこで、誰かがジャスティンに細長い飴を上げた時、チョコで手をベトベトにして、それを投げる真似をして腕を持ちあげたんです。ジャスティンのまわりの人は、身を翻しました。すると、ジャスティンは、心からゲラゲラと大笑いをしたんです。それは幼い形のユーモアですもんね。それによって、ジャスティンは、自分のいろいろな行動が人々に及ぼす影響があることを理解していて、ジャスティンが他の人たちと関わっていることが分かりました。 こういうことのお陰で、私はジャスティンには、変わって行けるだけ力があると希望を持つことができました

 

 

 

 

 ジャスティンだって、関わる大人が根源的信頼感を豊かにして、賢慮を持つて、丁寧にやり取りすれば、人と仲良しになれるわけですね。人間って、素晴らしいですね。

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