エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達トラウマ障害(DTD)という診断は、アメリカでも、日本でも、大いに使える

2016-06-29 07:59:44 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
愛着障害と≪陽気で楽しい≫プレイフル
  ≪陽気で楽しい≫。それは子どもが愉しそうに遊んでいる時の気持ちです。しかも、これはエリクソンが、臨床で最も大事にした態度、playful プレイフル を私が翻訳した言葉......
 

 

 「発達トラウマ障害愛着障害」という診断名は、信頼性も検証済みという訳です。

 今朝も、今から7年前、311(2011)を遡って2年前、ヴァン・デ・コーク教授が、2009年に出した、発達トラウマ障害(DTD : developmental trauma disorder)をDSM-にハッキリと入れてね、という提案書(http://www.traumacenter.org/announcements/DTD_papers_Oct_09.pdf) の75日目。

  今朝は、妥当性と信頼性の章の46日目。今日は発達トラウマ障害(DTD)という診断名は、妥当性あるの? という課題です。統計のやや退屈な話題かもしれません。

 

 

 

 

 

 収束的妥当性 (convergent validity)。 発達トラウマ障害(DTD)の診断基準を評価しようとする努力が、NCTSN(国立子どもトラウマ・ストレス・ネットワーク)の各支部で、行われてきましたなかで、それぞれの研究者たちは、この題材を独立的に追求してきたのですが、別々なサンプルでも、別々の心理測定方を使っても、同じような結果でした。ですから、発達トラウマ障害(DTD)という診断は、収束的妥当性の最初の指標になります

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)という診断は、いろんなサンプルを統計調査しても、同様に妥当だった、だから、皆さんの関わっているケースでも、妥当なはずですよ、ということです。すなわち、発達トラウマ障害(DTD)という診断は、日本でも、大いに使える、という訳です。

 

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感じ=判断

2016-06-29 07:02:06 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 

  能動的に受け身になる、と言われても、はてな?と感じる人もいるかしらねぇ。それは言ってみれば、「意識して聞き役に徹しよう」っと感じ。自分がいろいろ話すんじゃなくて、相手が......
 

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども。薬物依存症の帰還兵ラリーさん。セリフを何度も練習するうちに、自分の言葉を取り戻すことができました。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.346のブランクから。

 

 

 

 

 

 「法廷でのシェークスピア劇」では、リハーサルで使う言葉の特異性は、学生たちがステージを降りた後の会話にも広がります。ケヴィン・コールマンが記しているのは、学生たちの話が「…みたいな…」という言い方で穴だらけ、ということでした。ケヴィンは続けます、「もしも、自分の感情体験と自分の判断をゴッチャにしたら、やってることがあいまいになっちゃうよ。もし学生たちに『どんな感じがした?』と訊いたら、学生らはすぐに『いい感じ』だとか『ダメな感じ』だとか答えますよ。どちらも判断なんですね。ですから、私どもは1つの場面の終わりに、『その感じはどうなの?』とは決して言いません。というのも、そんなことを訊いたら、頭デッカチに判断するように、ってことになっちまいますからね」と。

 

 

 

 

 

 感情や感覚は、主観的で、あいまいなもの、と思われがちですが、さつき加藤正一さんの言葉で学んだみたいに、社会的なもの、その判断を含んでいる場合が多いものです。学生らが感じている子にも、良い感じがしたら、オッケーの判断、ダメな感じがすれば、NOの判断が下されている、と考えられますもんね。

 ですから、感じ=判断、ということになりますね。別にそれをあたらめて、知的に判断する必要は必ずしもありませんよね。

 

 

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発達トラウマ障害(DTD)は、精神病の総合デパート

2016-06-29 02:07:35 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
大人が真面目にやってることが、子どもの遊びに及ばない?
  遊びは、人間が、過去に自分の経験したことに折り合いをつけ、現在の課題や人間関係を自分でコントロールしようとする力を、人間らしく発達させるために、なくてはならないものです......
 

 

 発達トラウマ障害DTD愛着障害の子どものセラピー態度で示す優しさや励ましが最も効果的です。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.134

最後のパラグラフから。

 

 

 

 

 

 レオンみたいに、コナーは典型的な核家族に育ち、表面上は発達トラウマがあるようには見えない幼少期を過ごしていました。コナーの両親は2人とも成功している、大学出のビジネスパーソンでした。レオンみたいに、平均以上のIQでしたが、レオンと違って、学校の成績は良かったです。私どもがコナーの心理治療の履歴をざっと調べてみると、様々な点で、自閉症を始め、10以上の神経精神科的な診断ができることが分かりました。すなわち、広汎性発達障害、小児統合失調症、双極性障害、ADHD、強迫性障害(OCD)、大うつ病、などなどです。

 

 

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)が、精神病の総合デパートであることを示す、コナー君のケースです。

 私も、日々子ども達のサイコセラピーをしていますが、中学・高校になると、発達トラウマ障害(DTD)の子ども達が、発達トラウマ障害(DTD)をベースにして、うつ病や依存症、統合失調症、摂食障害、などなどに実際になっていますもんね。

 

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インターメッツォ : 感じ方 > 考え方 それと次の段階

2016-06-29 01:44:38 | 聖書の言葉から

 

 

 

 
愛着障害と≪陽気で楽しい≫プレイフル
  ≪陽気で楽しい≫。それは子どもが愉しそうに遊んでいる時の気持ちです。しかも、これはエリクソンが、臨床で最も大事にした態度、playful プレイフル を私が翻訳した言葉......
 

 

 今宵も、加藤周一さんの言葉に学びたいと思います。今日は、『加藤周一セレクション 5 現代日本の文化と社会』(平凡社)から。

 

 

 

 

 日本の近代化・民主主義化を、西洋の手本から離れて、我々自身の道の上に追究するための条件は、日本の現実そのもののなかに与えられている。戦争以来、目立たない変化が、大衆の広い層の中に与えられている。知識階級は、そのことを感じる必要があるだろうと思う。

 近代化即西洋化というものの考え方は、単に考えの問題ではない。考え方を支えているものは、感じ方であり、その感じ方は、個人的なものではなく、時代の背景からつくりあげられる社会的なものである。そこでたとえば、日本に対しての根本的な感じ方を変えるために、アジアを旅行するのも、必要な1つの方法であろう。…われわれは、我々自身のなかにある大衆的な意識を拡大する必要があり、それを洗練し、それに表現を与える必要がある。それが日本の全体に向かって我々の世界を拡げるということになるだろう。

 そういう意味はむろん学問や、芸術の大衆化ということではない。大衆的な学問というものはない、あるのは学問とその通俗的解説である。…どうしたら日本の学問、日本の芸術が育つか、ということを、いわば心構えの問題として論じているだけだ。その手がかりは大衆であり、我々の意識を大衆的な拡がりの中で育てることが、唯一の道だろうと言うのが私の考えである

 

 

 

 

 

 ここは極めて実践哲学の趣がある所だと思いますね。学問は、裸では、大衆には高尚なものであっても、実感のあるものではありません。リアリティは感じにくい。あくまで大学かカルチャーセンターで「お勉強するもの」であっても、自分の生活とは無関係。知識階級、インテリゲンチャは、大学やカルチャーセンターの講師になることも可能ですが、それでは、学問は「象牙の塔」のものであって、社会的なもの、生活の中で生きるものになりません。私はそういう学問には関心がありません。

 私が関心があるのは、人々、特に弱い立場の人が幸せ、悦びを感じていただく様な学問です。発達トラウマ障害(DTD)≒愛着障害の学問的成果は、子どもとの関係に心を痛めている親や教員や地域の人たちに、相当説得力があります。加藤周一さんの言葉でいえば、発達トラウマ障害(DTD)≒愛着障害の学問的成果の通俗的解説がかなりうまくいっています

 それは、人びとの考え方と、その根っこにあるじ方を変えることに役立っているということですね。そして、それは、次の段階に入っています。


 

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