エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達トラウマ障害(DTD)を生み出す不幸な家族環境

2016-06-13 07:19:01 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
武満徹さんの 宝物のようなうた
   神の前で、神なしで生きる  人の心は、バイセクシャル。面白いですね。人の心って、実に深くて、不思議に満ちて...
 

 「発達トラウマ障害愛着障害」と診断・アセスメントすることの大事さを、改めて考えていただけたらいいですね。

 発達トラウマ障害≒愛着障害の子どもは、ADHDと一番間違います。

 今朝も、今から7年前、311(2011)を遡って2年前、ヴァン・デ・コーク教授が、2009年に出した、発達トラウマ障害(DTD : developmental trauma disorder)をDSM-にハッキリと入れてね、という提案書(http://www.traumacenter.org/announcements/DTD_papers_Oct_09.pdf) の61日目。

 今朝は、妥当性と信頼性の章の32日目。鑑別の妥当性に関する量的なデータに入ります。

 

 

 

 

 

同様に、NCTSN(国立子どもトラウマ・ストレス・ネットワーク)の核になるデータでも、PTSDの症状は一般的でしたけれども、発達トラウマ障害(DTD)の診断基準Aを満たす子ども達は強迫性障害、パニック障害、恐怖症の症状は経験していませんでした。CCTC(シカゴ子どもトラウマ・センター)のデータでも、発達トラウマ障害(DTD)の子ども達は、トラウマストレス(3.36対2.21)や他の不幸な経験(4.48対1.33)を、発達トラウマ障害ではない子ども達と比べて、合算した平均が8.17対3.51の割合で、有意に(p<.001)多く経験していました。

 

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども達は、PTSDの症状が重なってあるのが普通みたい。でも、私の臨床経験で言えば、PTSDの3症状すべてがあるのはレアケースで、あるのは1つくらい。何と言っても、不幸な家族環境が特色です。この不幸な家族環境と言っても、想像されるみたいに劇的なものばかりではなくて、離婚、夫婦の諍い、家族の中で繰り返される緊張、家族間に対話がない、ということが、実は子どもにとって、不幸な家族環境になる場合が多い感じです。

 

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無理から始まることもある

2016-06-13 06:08:24 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
子どものわがままにどう応ずるかで、天地の差が出ます。
   礼拝は民主主義に似ている。 The life cycle cpmpleted 『人生の巡り合わせ、完成版』、p46の第3パラグラフから。 ...
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもも、、応える責任、説明する責任、人を敬う責任は全うすることに合意して、重要な人物を演じて、どうなるのでしょうか?

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.343の、第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 それで、第2幕となります。いくつかの物語を分かち合う。子ども達はお互いに耳を傾け合って、トラウマの寂しさと一人ぼっちを突き破ります。ポールは私に映画を見せてくれました。その映画を見れば、この第2幕がどのようになるのかが分かります。子ども達は、自己紹介を言って下さい、自己紹介になるようなことをしてください、と言われると、固まる、表情はなくなる、伏し目がちになる、自分が見えなくなることなら何でもします。

 

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもには、自分がありませんから、自己紹介はできません。自己紹介をしろ、というのは、土台無理な注文です。

 しかし、その無理から、すべてが始まるようですね。

 

 

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「アヴェロンの野生児」みたい

2016-06-13 02:15:37 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
トイレの神様から、無垢な自分が生まれる
  ウンコやオシッコでさえ、光になる。そんなこと、ホントにあるの? Young Man Luther 『青年ルター』p205の第3パラグラフから。&nbs...
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)≒愛着障害の子どもは、アメリカでも、ニッポンでも、基本がホッタラカシです。発達トラウマ障害(DTD)の子どものセラピーには、慎重さと賢慮が必要です。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.131から。

 

 

 

 

 

 私はジャスティンの眼て、この世の中を見て見ようとしたんです。ジャスティンは未だ病気で、ジャスティンの肺炎は、まだ治りきっていませんでした。ジャスティンは怖れを抱いていましたし、混乱していました。ジャスティンは、この新しい、混沌とした所に置かれているのか、全く分かっていませんでした。ジャスティンの犬小屋の家なら、馴染がありました。ジャスティンは自分のまわりにいる犬たちは知っていましたし、何が犬から期待できるかも分かっていました。それから、ジャスティンは腹を減らしていると思ったのは、ジャスティンがこの3日、食べ物のほとんどを投げ捨てていたからでした。私が近づくにつれて、ジャスティンはニヤニヤして、小屋の狭い中を這いまわり、ギャーギャー喚き散らしました。

 

 

 

 

 

 ジャスティンがいかにケダモノみたいになってたかが分かります。発達トラウマ障害(DTD)のケアは、ある意味では、パリ郊外で200年以上前の「オオカミに育てられた少年」=「アヴェロンの野生児」のケアと同じなのかもしれませんね。

 

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インターメッツォ : 自信と望み

2016-06-13 01:23:17 | 聖書の言葉から

 

 

 
武満徹さんの 宝物のようなうた
   神の前で、神なしで生きる  人の心は、バイセクシャル。面白いですね。人の心って、実に深くて、不思議に満ちて...
 

 

 先日、とある高校の教員に、発達トラウマ障害(DTD)のことを話すチャンスがありました。発達トラウマ障害(DTD)がいかに深刻な精神病で、人生をメチャクチャにしかねない病であるのかをお伝えしたわけです。「三つ子の魂百まで」と言いますね。かつて、厚生労働省は「三歳児神話」と言って退けたことが、実は、科学的に鮮やかに証明されたのが、ここ三十年のアメリカで研究・臨床された発達トラウマ障害(DTD)研究だと、という中身でした。厚生労働省は、「三つ子の魂百まで」となれば、そのための予算措置をしなくてはなりませんから、予算を付けるのを渋るために、「三歳児神話はウソですよ」というウソを、喧伝したわけですね。厚生労働省のお役人は頭が良いかもしれませんけれども、人品としては、最低に近いことが、ここから分かると思います。

 元来、笑いの出ない話をすることは耐えられない質の「遊びのオジサン」である私は、発達トラウマ障害(DTD)の話をしても笑いが取れずに、悔しい思いをして帰ってきました。話があまりにも深刻なので、ほとんどの方の顔が青ざめていましたからね。カール・バルトが深刻な終末論の話をしても、笑いの連発だったことを参考にしたい私は、そこに遠く及びない、私の非力を思い知らされたわけです。それでも、出来得るかぎりのユーモアと言葉遊びを交えてお話したので、笑みを浮かべる人は何人かいてくれたのが、それがせめてもの救いでした。

 今宵は、三歳まで、すなわち、0・1・2才がいかに大事かを、深くご存知の佐々木正美先生の言葉から学びます(『あなたは人生に感謝ができますか? エリクソンの心理学に教えられた「幸せな人生の道すじ」』から)。

 

 

 

 

 

最も重要なのはひとつめ、乳児期のテーマ

…人生を左右するほどの違いが、乳児期のすごし方にあるわけです。…エリクソンは、乳児期の危機的な主題は「基本的信頼」を抱くことだと言いました。…乳児期に、人を信じることが出来るようになった子は、同時に、自分を信じる力を得ます。…人を信じることはあまりできないけれども、自信はあるという人間は、いないんです。…自信というのは、おごりではない。…静かに、ひそかに、自分の存在を誇りに思うことができる。その気持ちが自信なんです。…何千回も望みをかなえること。それが信頼感、人間関係の基盤になるのです

 

 

 

 

 

 

 赤ちゃんの頃に、何千回、何万回、望を叶えてもらったものは幸いなるかな。人を信頼し、自分を信頼することができるからです。たとえ困難があっても、「大丈夫」が合言葉の人生を歩むことになるでしょう。

 赤ちゃんの頃に、何千回、何万回、望を叶えてもらえなかったものは災いなるかな。人を信頼できず、自分を信頼できないからです。たとえ順境にあっても、「ダメだぁ」が合言葉の人生を歩むことになるでしょう。

 後者の最たるものが、発達トラウマ障害(DTD)の子ども達です。

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