エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

インターメッツォ : 幸せなお母さん1人

2016-07-14 08:12:30 | 聖書の言葉から

 

 

 
悪から生まれる、善なる力
  自分が苦しいと思うことから逃げ出したい、と思うのが人情ですね。でもね、逃げないことです。 Young Man Luther 『青年ルター』p211の、下から6行目途......
 

 

 

 『新約聖書』の「マタイによる福音書」の五章には、「山上の説教(垂訓)」と呼ばれるイエスの教えがまとめられたところがあります。「幸いです、・・・」と言う言葉が繰り返されるところです。本田哲郎神父様は、この「幸いです」という意味は「神様からの力がある」という意味であると、教えてくれています。たとえば、5節の「幸いです、柔和な人は」は、本田哲郎神父様によれば、「抑圧にめげない人は、神からの力がある」となる、という具合です。

 しかし、「抑圧にメゲナい」でいるから、「神様の力がある」のか? それとも、「神様の力がある」から、「抑圧のメゲナイ」のか? はにわかには分かりませんでしょ。私は、この両方とも真だ、と感じてんですね。この山上の説教をベースにしたと感じられる、エリクソンの言葉です。Toys and Reasons: Stages in the ritualization of experience.から。

 

 

 

 

 

 

幸いです、自分を大事に育ててくれたお母さんたちと同じようにすればいいんだわ、と思って、自分の新たな役割をすることによって、「良かったぁ」と感じることができるお母さん。自分が母親であることが、自分の赤ちゃんが次第に応答するようになることによって、「良かったぁ」と感じることができるお母さん。

 

 

 

 

 

 私どもは、すべてのお母さんがこのように感じることができる社会を作っていくべきでしょう。

 


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一助の幸い

2016-07-14 07:28:58 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
悪から生まれる、善なる力
  自分が苦しいと思うことから逃げ出したい、と思うのが人情ですね。でもね、逃げないことです。 Young Man Luther 『青年ルター』p211の、下から6行目途......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもトラウマを意識して治療していく社会を作っていくためには、ニッポンにあっては、まだまだ解決しなくてはならない課題が山積しています。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.349の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 脳科学の進歩のお陰で、どのようにして、トラウマが脳の発達、自己コントロール、集中力、他者と調子を合わせること、に影響するのか、がだいぶよく分かってきました。洗練された画像技術のお陰で、脳の中でPTSDの源となる部分も特定されましたから、なぜ、トラウマを負わされた人たちが、人と関われないのか、何故、トラウマを負わされた人たちが、音や光に悩まされるのか、なぜ、トラウマを負わされた人たちが、ささいなことで怒り出したり、気持ちを引っ込めたりするのか、ということも、今は分かっています。経験によって脳の構造と働きそのものがいかに変化してしまうのか、さらには、私どもが子どもに伝える遺伝子までもが、いかに影響されるのか、ということも分かりつつあります。

 

 

 

 

 

  赤ちゃんの頃のネグレクトや虐待が、いかに恐ろしいことなのかが分かります。第1に、そのこと自体を、広くいろんな方に知ってい頂く必要があります

 このブログもその一助になれば幸いです。

 

 

 

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ネグレクトだけでも、恐ろしい!

2016-07-14 05:19:26 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
直感とガッテン
  今日は直感のお話。 時々、直感が当たったいたことを、今更ながら、「直感は正しかったんだね」と感じることがあります、けれども、みんさん、そういうことってありませんか?......
 

 

  発達トラウマ障害DTD愛着障害の子ども。コナー君のオカシナ行動などが、赤ちゃんの頃のネグレクトに起因するものだ、ということが誰も分からないまま、時間ばかりが経過して、14年もの歳月が、悪戯に過ぎていってしまったようですね。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.138の第2パラグラフ、6行目途中から。

 

 

 

 

 

その結果は、(訳注:上体を前後、あるいは、左右に大きく揺らす)ロッキングを繰り返し、鼻歌を歌い、友達1人おらず、どうしようもなく一人ぼっちで、落ち込んだ、14歳。アイコンタクトをすることもなく、ずっと喚き、三歳か、四歳位の子どもがするような激しい癇癪を起こす少年。赤ちゃんの頃の数か月、コナー君が手に入れることが出来なかった刺激を死に物狂いで必要としている少年。

 

 

 

 

 

 ひどい感じでしょ。最重度の知的障害児のイメージそのものです。でも、コナー君は、先天的な知的障害児じゃあありません。後天的な、生まれて直ぐ後の環境がヒドイばっかりに、脳が真面に発達せず、いろんな障害を持つに至ったわけですね。ネグレクトだけでも、人は最重度の知的障害児と同じようになってしまいました

 

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発達トラウマ障害(DTD)になると、トラウマの囚われからなかなか解放されないで・・・

2016-07-14 04:42:28 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 

 
スポーツ根性ものとは真逆です。
  ある意味、育ちがうまくいくのは、繰り返し気付きを与えられて、無意識の暴力から解放されていくことだ、とも言えますね。 The life cycle completed......
 

 2年前(2014年)、心理臨床学会の招聘講演で、発達トラウマ障害(DTD)について講演した、Ruth Lanius ルース・ラニウスさんらが昨年出した本、Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、神経科学、治療』の翻訳。 最終章の第7章、p.275の、アインシュタインによるエピグラフの後から。本のタイトルの訳語を変えました。

 

 

 

 

 

 この本で、私どもは、ウィリアムズ・ジェームズ(1902/2002.p.136)が「病んだ魂が…魂の牢獄の謎、すなわち、トラウマを負わされた自分に囚われて状態、について言わなくてはならないものに耳を傾ける」と呼んだものに答えを出そう、として、ここまできましたね。そのように努めてきて、私どもは、人間が耐えたくてはならない、最も深刻な痛みや苦しみを、皆さんに伝えてきました。この本の付録には、トラウマを生き延びた方々が語る、トラウマ関連の、時間、考え、身体、感情に関する変性意識(TRASC)の経験について語った、ありのままの面接の全編が収録されています。

 

 

 

 

 トラウマを負わされた自分に対する囚われ、と言われても、ピンとこない人もいることでしょう。しかし、イライラしたり、夜、眠れなかったり、不安になったりすることが、よくあるのに、自分が、なぜ、そうなっちゃうのかが分からない…。すると、どうすれば、そのイライラ、その不眠、その不安から解放されるのかも、分からない。薬を飲んでも、根本的な解決にならないから、イライラや、不眠や不安から、自由になって、自分らしくイキイキと、陽気で楽しく生きる、という感じにはほど遠い…。これが、トラウマを負わされた自分に囚われている状態と呼びます。キチンとしたサイコセラピー、ボディーワークを継続的に、定期的に、受けない限り、発達トラウマ障害(DTD)は決して解消しません。

 トラウマ関連の変性意識(TRASC)とは、また次の機会に。

 

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