エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達トラウマ障害(DTD)の治療には、40,000回のやり取りを

2016-07-20 07:36:58 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

  

 
恵みの源
  ルターは、デッカイ建物やら厳かな行事やら、ありがたい教えやらエライ学者やらに頼って、自分を確かにする道を捨てて、自分の中のまします savior セイヴィアー≪ひとりび......
 

 

 2年前(2014年)、心理臨床学会の招聘講演で、発達トラウマ障害(DTD)について講演した、Ruth Lanius ルース・ラニウスさんらが昨年出した本、Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。 最終章の第7章、p.276の第2パラグラフの8行目途中から。

 

 

 

 

 

発達段階に応じたセラピーを考える時、日常的に負わされていたトラウマの影響を失くすためには、トラウマを負わされた自分ができるまでにかかった時間と同じだけの時間がかかる、ということを銘記しておくことが大事です。多くのクライアントにとって、トラウマを負わされた自分は、生まれてすぐから始まり、サイコセラピーを見つけてやり出すまで続いていたわけですからね。 

 

 

 

 

 

 ラニウス教授らも、極めて実践的、臨床的です。トラウマを負わされた自分ができる時間と同じだけ、治療には時間がかかる、というのですからね。でも、それだけじゃぁないと私は考えますね。

 発達トラウマ障害(DTD)は、先ほどのブログでも記しましたように、ささやかな日常茶飯事の繰り返しですから、その一つ一つを数えたら、1日、10回、100回あると言っても、過言じゃぁありません。発達トラウマ障害(DTD)の治療が始まるまで10年かかったとしたら、トラウマとなる事実が、1日10回だとしても、10回×1年×10年=40,000回あったことになるますでしょ。

 ですから、発達トラウマ障害(DTD)を負った自分から自由になるためには、40,000会の善い関わり、やり取りをしてもらう、という事実を積み重ねなくっちゃ、不可能、ということになります。

 

 

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子どもが激しく怒るのにも、訳がある…。

2016-07-20 02:36:52 | 聖書の言葉から

 

 

 

 
人生は、ころんだら、最初に戻るもの
  エリクソンのライフサイクル理論は、単なる理論であることを超えて、日常生活を最深欲求に結びつける叡智の塊なんだろうと考えます。 The life cycle comp......
 

 今宵も、エリクソンの処女作、Childhood and Society 『子どもの頃と社会』の至言をご紹介します。エリクソンがまだ、あばら家に住んでいたころに書いた文章です。本を出した1950年には、カリフォルニア州オリンダのプール付きの家にいました。今宵は、P.68. 脱抑制の発達トラウマ障害(DTD)の子どもや大人が示す激しい怒りの背景をエリクソンが教えてくれるところです

 

 

 

 

 

 私は激しい怒りについて触れましたね。この激しい怒りが起きるのはいつも、ひとりびとりが、人生の主人公だという感じを持つことにとって、生きるか死ぬかというほど大事なことをしようとしているのに、止めなさい」だとか、「ダメって言ったでしょ」などと言われる時、ということなんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 子どもは、1度や2度、「止めなさい」だとか、「ダメって言ったでしょ」と言われても、激しい怒り、までは抱かないものです。でもね、1人の子どもが、人生の主人公だという感じを持つことにとって、生きるか死ぬかというほど大事なことって、どれだけバカでっかいことかなぁ?と思うかもしれませんね。でもね、実際は、ささやかなことであることが圧倒的に多いでしょう。子どもが「ねえ、ねえ、お母さん、…」と話しかけてきた時だったり、身体に触ってきた時だったり、お母さんの布団に潜り込んできた時だったり…。

 そんなささやかなことを、母親が父親が、保育士が、教員が、…「忙しいから」「煩わしい」などと感じて、繰り返し「止めなさい」「ダメだぁ」と言ってるうちに、その子どもは、寂しさ、悲しさ、不満を募らせた結果として、激しい怒りを心の深みに抱くことになんですね。

 

 
 

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本当の癒しと腐った組織

2016-07-20 01:27:35 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
人生は、ころんだら、最初に戻るもの
  エリクソンのライフサイクル理論は、単なる理論であることを超えて、日常生活を最深欲求に結びつける叡智の塊なんだろうと考えます。 The life cycle comp......
 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子ども公衆衛生上でも、社会福祉の上でも、学校教育の上でも、最大の問題だ、と考えますが、ニッポンでは、まだ、発達トラウマ障害(DTD)の存在すら認識されていないのが、悲しき現状です。ニッポンの発達トラウマ障害(DTD)の温床の大きな部分が、人間らしい暮らしを保証する労働政策を実現するだけで、ほとんど解消します。

 The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.351から。 

 

 

 

 

 私が、社会的な根っこにあるトラウマを治療することに関して、一番根っこにある経験は、南アフリカの「真実と和解・委員会」の働きをこの眼で見たことです。「真実と和解・委員会」は、中心的な行動指針「ウブントゥの原則」に基づいていました。その原則は、すなわち、コーサ語で、「自分が持っているものを分け与える」という意味ですが、「私の人間としての在り方は、あなたの人間としての在り方と、切っても切れない関係です」という言葉に現れています。ウブントゥが認めていることは、本当の癒しが可能になるのは、私ともが1つの人間としての在り方を分かち合い、1つの運命を分かち合っているということを認める時だけだ、ということです。

 

 

 

 

 

 

 ウブントゥの原則は、ゴールデンルールを徹底的に肯定的に循環させたもので、「人間皆兄弟」と同じ原理です。

 その点、学校も、会社も、役所も、自分の組織を絶対視して、組織以上の価値である「一つの人間としての在り方」や人権(human reght =人間として正しいこと)、憲法…を無視した時には、腐った組織になりますね。実際に、教員の互助会となった学校や教育委員会では、発達トラウマ障害(DTD)の子どもとその家族とは、泣かされています

 

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発達トラウマ障害(DTD)は、知的障害にも見える

2016-07-20 00:48:44 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
恵みの源
  ルターは、デッカイ建物やら厳かな行事やら、ありがたい教えやらエライ学者やらに頼って、自分を確かにする道を捨てて、自分の中のまします savior セイヴィアー≪ひとりび......
 

   発達トラウマ障害DTD愛着障害の子ども。生まれてすぐにネグレクトや虐待がある場合が、一番重たい発達トラウマ障害DTD愛着障害の子どものケースです。その場合、どんなことになるのでしょうか?

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第6章、本のタイトルにもなっている「犬として育てられた少年」のp.139の第4パラグラフの5行目途中から。

 

 

 

 

 

コナーの場合、コナーの問題は赤ちゃんの時期の最初から始まっていたのは、明らかでした。この時期は、脳の低次の、しかも一番中央が盛んに発達する時期です。この部分の脳のシステムは、リズムやタッチに反応する部分です。すなわち、それは、心拍、神経化学物質やホルモンの一日サイクルの調整、正常に機能できる秩序維持のための歩行や他のパターンのリズムをコントロールする脳幹です。身体を通して心の温もりを感じることが、脳のある部分を化学的に活性化させるためにはなくてはなりません身体を通して心の温もりを感じることがなければ、ローラのケースみたいに、身体の成長(頭や脳の成長も)が遅れます

 

 

 

 

 

 タッチを通して、心の温もりが伝わらないと、身体の発達、身体の一部である脳の発達まで遅れてしまう。ビックリですね。

 実際、発達トラウマ障害(DTD)の子どもで、保育所から小学校に上がる際に、「知恵おくれ」ではないか?と疑われて、「就学指導委員会」に回されるケースが少なくありません。発達トラウマ障害(DTD)かあると、1)感情や行動のコントロールが出来ない、2)学習その他の活動に参加しづらい、3)対人関係が上手く出来ない、4)自尊感情が低くなる、という4つの領域が落ちますから、2)の部分で「知的に遅れや偏りがあるように」見えることがよくあります

 

 

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