29.04.02 相続放棄 3 NO.1483
ある日理容師をしていたHさんから電話がかかってきました。 「シャチョー(私のこと)ワシ脳こうそくで入院しているのに、嫁はん出てゆきよってん」「住宅ローン払われへんのでなんとかしてーよ・・・」と
言語機能に障害があってほとんど酔っぱらいのような話し方でした。
入院先の病院へ行って事情を聴いてみると、不動産の相場よりもローン残高の方が多い状態でした。 早速金融機関に連絡してHさんの入院先の病院来てもらって、協議しました。
本件不動産を私が責任をもって買い受ける。 ただし、ローン残高よりも300万円ほど低い価格だから、その金額で抵当権を抹消して頂きたい。つまり、債権額300万円を放棄していただきたい・・・という条件でした。 同時に、担当医師に対して「Hさんに法律行為能力があること」の証明を頂くこと、としました。
金融機関は債権放棄に難色をしましましたが、Hさんに債務が残ることに同意するという条件で、抵当権抹消の了解を得ました。
Hさんにはその債務を返済する能力はありませんが、金融機関としてはそういう形にしないと内部の決済が下りないということでした。
ところで、Hさんはその後奥さんと離婚した(させられた)とのことですが、奥さんには前夫との間に子供がおりHさんと結婚する際にその子供を養子縁組してHさんの「子」になっていたようですが、この場合Hさんが死亡すれば、養子縁組を解消していない場合には、Hさんの債務はその「子」相続されることになります。