29.04.19 雷のへそ NO.1500
飢餓の青春時代が長かったせいか、ちょっと金回りが良くなったバブルの時代には、反動的に「うまいものを腹いっぱい食べたい」という衝動に駆られたものです。
世界の三大珍味と言われる「フォアグラ・トリュフ・キャビア」もその時期に口にしましたが、なんと言うことはありません、そんなに旨いものとは思えませんでした。
そんなものよりも、かつて開高健が「洋酒天国」という小冊子で絶賛し、呑み助の垂涎の的だった「雷にへそ」を食べてみたかった。
地中海にしか棲息しないごく小さな「ヒシコ鰯」の頭と中骨を1匹1匹丁寧に取り除いてくるくる巻いて、おへそのような格好にしてオリーブ油に塩付けした珍味です。
なかなか手に入るものではなく、想像上の珍味でしたが、それがなんと近年はスーパーなどで缶詰やビン詰めにして500円くらいで売っているのです。
珍味と言ったって、別段顎が外れるほどにおいしいと思うものはありませんが、今時の庶民はかつての王侯貴族のようなものを食べている。
そういえば、キャビアの模造品「なんちゃってキャビア」というビン詰めも500円ほどで売っています。
でも、日本で一番うまい酒のあては、福井県あたりで売っているサバの「へシコ」ではないかと思います。
高いと言っても1匹せいぜい1500円ほどのものですが、世界の珍味と比べて遜色はありません。