30.03.24 棘(とげ) NO.1838
ある老人ホームでの話です。 80歳代のおばあちゃんが「手
に棘が刺さった」と事務所にやってきた。 1ミリに満たない異
物だったがほじくりだすのにひと苦労。 一人の職員がばあち
ゃんの手を動かないようにしっかりと握りしめ、もう一人に職員
がピンセット等で汗だくになってやっと取り出しました。
でも、翌日またやって来て「チクチクする」というのです、ルー
ペで見ても何も残っていませんので、念のためにと赤チンを付け
て帰しました。 でも、また翌日にやって来たのです。
同じくルーペで見ても何もありません。 手をさすって「大丈
夫」と言ったのですが、差し出した手を引っ込めない。
もう一度しっかり握りしめてほしい・・・と訴えているような眼
差しをしているのです。
そうなんです。 高齢者は手を握り締めたり抱きしめあうという
ような機会がありませんから、手を握り締め(てもらった)感覚
が忘れられなかったのでしょう。 皆さんそういうことは口に
は出しませんが、きっとそうだろうと思います。 高齢者にはス
キンシップが必要です。
* 「老稚園長ぶっちゃけ話」小野 博道 著
より抜粋しました。