R 03 .08.02 プエキシドエフレナリン NO.3099
終戦(敗戦)の日が近づきましたね。 敗色濃い昭和20年、,日本軍幹部は「生き
て敵の虜囚の辱めを受けるよりも、名誉ある自死を選べ」ということで、兵士たちに
万一の際にはこの薬物を飲めということで、赤い紙に包まれた1錠の薬を配りまし
た。 なんの苦痛もなくあっという間に心臓まひと同じよう状態で、死ねる薬「プロ
キシドエフレナリン」(和名「落命丸」)でした。
わが父はフィリピンで従軍していて、この薬を手渡されましたが敗戦の日まで、飲む
機会もなく背嚢(はいのう・・・一種のナップザク)に入れていて、帰還とともに持
ち帰りました。 父は間もなく早世しまましたので、こんな薬は捨てればよかった
のですが、何かの記念になろうと思って、金庫の奥に保管していましたことを思い出
しました。 自分が認知症になって人に迷惑をかけるようになったり、治癒の見
込みがない病気になって、ベッドに縛られて生き永らえるより、いっそこの薬を飲ん
で、この世とオサラバする方がいい、この薬が役に立つ日がやってきたと言う実感が
あります。 *この原稿フィクションです。