新・本と映像の森 69 山本亜季『ヒューマニタス HUMANITAS』小学館、2016年
(マンガ7)2016年11月、253ページ、定価本体648円
偶然、宣伝を見つけて、好きな絵柄だったので注文したが、大正解!とても素敵なマンガでした。
3つの中編を集めたオムニバス・ストーリイ。
1話目は、15世紀の中央アメリカに生きる青年剣士ネスロと、年若い盲目の少年オセロットの物語。
少年は神に捧げる儀式で双子の一方と闘い、どちらかが死ぬ運命にある。オセロットは、師であるネスロから、部族を逃亡して広い世界で生きていく計画をもとかけらる。
☆
第2話は、20世紀のソ連、極北の強制収容所を舞台にしている。収容所に投獄されたユーリ・シルバーマンは妻と赤ちゃんと生き別れる。
偶然のことから、チェスの才能を見いだされたユーリは、監視役ゴドーとともに世界チャンピオンをめざす。
アメリカ・チャンピオンのアーロンとの決戦で、瀕死の難病にかっかた娘と、一手だけ意図的な三須をすれば、娘は救われると「ビジネス」の相談があり・・・・。
☆
第3話は、「エナ」。エナはクジラ取りエスキモーの少女。そこへ漂着したイギリス人の青年ウィリアムとエナの物語。
個人的にはエナのファンです。
1ページに「地上には人の営みの数だけ
文化や風習が存在する」
「遺されたものは
数多ある記憶の ほんのひとかけら
にすぎない」とある。
そのよおりに、この世界の片隅で
鮮烈に生きた若者たちの物語を作者は、生き生きと描いた。
第2巻以降も描き続けて欲しいと切に願う。