新・本と映像の森 194 桜井邦明『天文考古学入門』講談社現代新書、1982年
1986年第6刷、197ページ、定価480円
天文学と古代史の両側にかかる本。ボクがおすすめ。「太陽の考古学」と名づけてもいい本です。
著者は理工学者。執筆時、神奈川大学教授。
イギリスのストーンヘンジはとくに詳細に分析している。大事なのはストーンヘンジの建設方法と時期です。当然ながらそれは単一ではありません。
太陽運行の問題はもちろん、日食・月食の問題も研究しています。
古代エジプト文明とピラミッドの謎については、エジプトの神々との関係が重要です。ラーやイシスやオシリス。
中南米の文明と神殿については、言い方が「ピラミッド」「天文台」とも呼びますが、やはり「神殿」でしょう。アステカ・マヤ・インカの神殿は太陽と深い関連をもち、太陽信仰に満ちています。
アメリカ・インディアンは岩に描いた超新星を残しました。これは極めておもしろいです。この本以外にはボクは詳しく見たことはありません。
全体として古代学で大和岩雄さんが外国の太陽信仰について詳しく書いている以外には類のない良書でしょう。(『神々の考古学』『神と人の古代学ー太陽信仰論』など)。大和岩雄さんより遺跡の1つひとつについては詳しいです。