雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森73 北森鴻さん『緋友禅~旗師冬狐堂~』文春

2010年08月28日 22時12分58秒 | 本と映像の森
本と映像の森73 北森鴻さん『緋友禅~旗師冬狐堂~』文春文庫、2006年(単行本は2003年、文藝春秋社)、285ページ、定価571円+消費税

 少し「雨宮日記」が熱中しすぎたようで、炎上・蒸発しないように「これしかない」思考ではなく、バイパスや脇道をいっぱいつけて、迷い道を散歩をしながら、ときには座り込んで空をながめたりしながら、歩いて行きたいと思います。

 推理小説家・北森鴻さんは2010年(今年)1月25日に心臓麻痺で他界されました。もっともっと生きて素敵な作品を書いていただきたかったです。
 北森さん、さようなら。
 北森さん、ありがとうございました。

 つい先週、次女Iさんと北森さんの話になり、Iさんが「北森さん、死んだよ」と言ったので、びっくりしました。

 Iさんが見つけてきて所有している本を借りて読んでいましたが、古代史や民族学を駆使した作品と主人公の女性たちの個性が大好きでした。
 私の大好きな主人公の一人が、店のない古美術商「旗師」宇佐見陶子、通称「冬狐堂」です。

 第1短編集『緋友禅』の冒頭作「陶鬼」では、ほぼ40才くらい、でも若く見えるようで「べっぴんさん」とか呼ばれています。

 「陶鬼」では、萩焼の贋作の話、「永久笑みの少女」では古代の埴輪、「緋友禅」では珍しく現代の友禅染め、「奇縁円空」では円空仏をめぐって真贋と人の人生が渡り合います。

 ここまで書いてハタと思い当たりました。
 真作と贋作、本物と偽物、嘘とまこと、人間にとってこれこそ大きなテーマですね。
 自分はどこまで本物なのでしょうか?

 陶子さんにとっても、頼りになるのはただ自分の目・自分の感覚だけです。だまされたら?それは自分の目が曇っていたからです。

 「他人の権威に頼っていては真実にたどりつけない」
 「自分で確認したことだけが、ただひとうの真実なんだよ」



 

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