本と映像の森 208 高木徹さん『大仏破壊 ービンラディン、9・11へのプレリュードー 』文春文庫、2007年4月10日、405ページ、定価695円+消費税
2001年3月、アフガニスタン・バーミヤン渓谷の大仏が爆薬で破壊されました。
それは見かけの主体は、武力で政権を握ったタリバンのように見えても、実は、その内実は、タリバンの内部にくいこんで、蔭で操っていたアルカイーダのビン・ラディンこそが黒幕でした。
どうしてアルカイーダがタリバンを最初は援助して、しだいに内部に浸透して、最後にはタリバンを操るようになっていくプロセスを詳細に追った驚異の、というより非常に恐いドキュメントです。
アルカイーダは元々、武装組織ですが、国際組織として資金も豊富で、宣伝戦略にもたけていました。アフガンの中で、次第に、主体と客体が交代して、タリバンの穏健派幹部達の目の前で、自分の組織がアルカイーダの言いなりに変質していくのです。
今のアフガンを理解するためには、まず読むべき本でしょうね。
2001年3月の大仏破壊からは、2001年9月11日のニューヨークはあとわずかです。
ただし、9/11の主犯はビンラディンであっても、アメリカは、つねに「相手に撃たせてから撃つ」戦略ですので(真珠湾でも、朝鮮戦争でも、湾岸戦争でも)、アメリカが知っていて「やらせた」可能性は高いと思います。
「本と映像の森 207」で紹介したオウムの場合、あるいは連合赤軍、あるいは毛沢東の中国、スターリンのソ連などなど、考えていきたいと思います。