こんにちは
今、帰ってきました。
僕が帰ろうとした時、研修医の女医さんが疲労からか、カンファレンスルームで突っ伏して寝ていました。まぁ、疲れるよな。たぶん6時間くらいしか帰っていないだろうし…。
僕は最近、結構元気です。
新病棟への移転というのもありますが、現在病棟の患者数は20名(かな)。ほぼ定数ですし、人工呼吸器や透析(CHDF含む)を使っていたり、シビアな全身管理を行っている人はいませんので。
僕が大学病院に帰ってきたときは今の教授と講師に僕の3名体制でしたから、ほぼ全患者さんのことを把握しているうえに急変対処もしなくてはなりませんでしたし、患者数がなぜか定数20名のところに30名いるという状況でそれの対応に追われていました。
今は自分自身の受け持ち患者さん11名を抑えながら、全患者さんを把握しておけばよい程度。その合間に試験準備や学会発表準備、レポート作成を頑張って行っています。
さて、先程Yahooを開いたときにこの記事が目にとまりました。
少し記事に書きたいと思います
勤務医の負担軽減策、9つの点数に拡大
3月5日23時40分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100305-00000016-cbn-soci
来年度の診療報酬改定では、病院勤務医の負担軽減や、処遇改善をうながす体制づくりの要件を、「急性期看護補助体制加算」や「栄養サポートチーム(NST)加算」などに新たに盛り込む。これにより、勤務医対策の点数は現行の3つから9つに増える。
厚生労働省が3月5日に通知した施設基準は、▽病院で働く医師の勤務状況を把握し、改善に向けて提言するための責任者を配置する▽勤務医の負担軽減などの改善計画を作成。その達成状況を評価するため、多職種からなる役割分担推進のための委員会または会議を設置し、適宜開く▽当直など夜勤を含む勤務時間を把握。その上で、業務内容などを考慮しながら、特定の人に業務が集中しないような勤務体系を策定し、職員に周知徹底する―など。改善計画については、短時間正規雇用医師の活用や交代勤務制の導入などを例示している。
勤務医の負担軽減のための体制づくりの要件は現在、「ハイリスク分娩管理加算」「医師事務作業補助体制加算」「入院時医学管理加算(総合入院体制加算)」の3つに盛り込まれているが、来年度には、急性期看護補助体制加算やNST加算のほか、「呼吸ケアチーム加算」「小児入院医療管理料1」「同2」「救命救急入院料(特定の加算を算定する場合)」―の6つの点数にも反映される。負担軽減と同時に、処遇改善につながる体制づくりも新たに求める。
これら9つの点数を算定するには、点数ごとの要件と、負担軽減に関する要件の両方を満たす必要がある。
■勤務医の労働環境把握、「客観的な手法が望ましい」
医療関係者の注目を集めていた勤務状況の具体的な把握については、「客観的な手法を用いることが望ましい」としている。同省では、月内にも事例集(Q&A)を出し、要件を明確化する方針。
勤務医負担の要件をめぐっては、1月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、「タイムカード等の客観的な指標で勤務医の勤務時間を把握している」ことを盛り込む改定案が示されたが、厚労省は2月10日の総会で、「勤務状況について具体的に把握している」と修正。その後の動向が注目されていた。
--------------------------------
「特定の人に業務が集中しないような勤務体系を策定」というのが難しいように思います。
まず、特定の診療科はどう頑張っても業務が集中するように思います。もともと業務内容が多いのに、医師数が少ないわけで・・・。
さらに交代制を実現できるほどの人数はいませんし、非現実的です。県内にある某大学病院の血液内科も3名体制(実働)でやっていると伺っています。
うちも実働としては2名(教授・講師などを含めて血液内科医としては5名)で研修医が必ずいる(から4名)ので、その面で非常に助かっています。
循環器内科なども忙しいですよね。外科系、特に脳神経外科も大変です。小児科、産婦人科も様々な理由で大変ですよね。
他の診療科に関してはそれぞれの先生が書かれているBlogなどがあると思いますので、まぁ各診療科に関してはそちらをご参照ください。
僕のだいたいの一日の流れを…。
朝の7時くらいに出勤し、7時半までには看護師さんから、患者さんの朝一番のVital signなどを確認します。朝来た時点で「ショック状態」だった患者さんもいたり、僕がついたときに心肺停止した直後という患者さんも過去にいました。
Vital Signを把握した後、患者さんの状態を直に診に行きます。僕はどちらかというと特に気をつけている人や朝のVitalチェックで変化があった人は診察もしますが、それ以外の患者さんはベッドサイドにしゃがんで
「おはようございます。今日はおかげんいかがですか~」
と、話をひとしきり(ほとんどの人は1,2分で話し終えますので)聞いた後、「今の状態」や「こういうことに気をつけてね」「今日の予定」「こういうことを主治医の先生と相談してね」とか話しながら一周します。
それでだいたい8時半になります。
8時半からバタバタしてなければ食事(回っているときに患者さんが心停止した人もいました。その時は家族もいて特に問題はなかったのですけど)。
9時過ぎから患者さんの検査結果などを把握。検査結果を見てすぐに対応を始めます。
血液疾患、特にうちのような大学病院だと白血病を主体で診ていますのでいろいろあります。 白血球というのは人の体を守るものですが、それが癌化してますので白血球を中途半端に残そうなどと思って治療は行いません。その程度の量では白血病細胞が残ってしまって治療の意味がないです。
ですから大量の抗癌剤を使用します。他の診療科の抗癌剤治療とはまったく違う量の抗癌剤治療です。
他の診療科では白血球が下がりすぎないようにしていますけど、僕らは下がるような量でなかったら(そして白血球が低下するような薬でなかったら)治療になりません。
普通の人が「白血球という兵隊」4000人から8000人くらいで体という「城」を守っているとすると、それが500人位…状況によっては100以下まで下がります。
そうするとどこからでも細菌や真菌(かび)などが感染してきます。良く腸内細菌と言いますが、そういうものも体に侵入してきます。空気中を漂っているカビも感染します。そういう感染症との闘いをしています。
しかも抵抗力がないから、「薬が効かない=患者さんの死亡の危険」という状況です。それゆえ、いつでも急変します。
他の血液細胞も減っていきますし、白血病細胞によっては様々なことが起こります。患者さんの全身管理を行い・・・あの手この手で患者さんを守りながら、抗癌剤の毒性から回復するまで患者さんと一緒に頑張ります。
自家移植はまだ良いですが、同種移植はさらに大変です。
白血球という自分の体を守る兵隊を殺して、他の方からの白血球(兵隊)を入れるわけです。自分の白血球は「味方の振り」をして敵となっている白血病細胞を駆逐する力がない時があります。ですから、ドナーさんからの「骨髄移植」はこの白血病細胞をやっつけてくれる可能性があります。
しかし、ドナーさんの白血球は患者さんを守るためにあるわけではありません。ドナーさんの白血球によって患者さん自身が攻撃されることもあります。これによって患者さんが亡くなることもあります。そういう反応からも患者さんを守りながら、一緒に頑張ります。
さらに今まで自分を守っていた白血球がいろいろ学んでいたのに、今度来たドナーさんの細胞はまだまだ未熟です。特に臍帯血では今まで「ウイルス」などにも接したことがないので、軒並みウイルスの活性化などが起きてきます。
それ以外にも命令をする士官クラス(リンパ球)がまだまだ弱いので、いろいろな意味で抵抗力がないです。
まぁ、僕らも分かっているから対応しますが、対応したからと言って絶対に安全な治療ではなく・・・。
そういう「危険性の高い治療」を行いながら患者さんと共に病気と闘っていますので、僕らは毎日検査結果をもとに様々なことを行います。
急変する患者さんは先程も書きましたが多いです。
緩和ケアを行っている患者さんもいます。緩和ケアであっても頑張ったら延命が十分できる可能性があるので(血液内科医の場合、内服抗癌剤を使用しながらぎりぎりを行くこともできます)、外来で頑張っていたり、入院して一時的にしのいだりします。
実際、1年半ほど高齢者の急性骨髄性白血病に対して外来で粘ってきた患者さんもいます。半年ほど粘っている人もいます。悪性リンパ腫の緩和ケアを行っている人もいます。
先日書いたと思いますが、再再々発のリンパ腫の患者さんにリツキサン+内服VP-16でCRに持ち込めた人もいます。
ともかくうちの場合、限界までやれることをやっているイメージがあります。
で、限界を超えた患者さんが急変して緊急入院してきてお看取りになる場合が多いです。 ともかく、そういう患者さん達一人一人の状態を把握して、治しに行っている人は治し、緩和ケアで入院していても頑張って帰れるようにして、もう一回外来へ・・って頑張っています。
で、バタバタやって患者さんの家族と話をしたりする時間が・・だいたい夕方以降が多いです。患者さんの家族が平日の日中に来れる場合は来てもらえますが、ほとんどの場合夕方以降に来る方が多いです。
それもまぁ仕方がないと思ってしまう僕がいますが、そうすると僕らは必ず20時くらいまでは患者さん家族と話をしている可能性があることになります。
ついでに僕は外来日以外に初診や難しい状態の患者さん家族と会うことにしています。それゆえ日中も1時間ほどは患者さんや家族と話をしていることが多いです。
20時くらいから患者さんの夕方以降(状況により日中から夕方以降)のVitalを把握し、夜の回診をします。これでだいたい21時です。
夕方に保険の関係の書類作成をしていたり、夜にレセプト書いていたり…ともかく書類関係の仕事をします。可能だったら論文読んだり、教科書読んだりします。
実際、ITPの患者さんに標準的な治療が効かなかったので、大量デカドロンをやり始めましたが、次にどうするのかは今のうちに考えておかねばならず論文捜しをします。先月の「Blood」に「大量デカドロン+リツキシマブ対大量デカドロン」という論文があったので、それを読んでいます。 患者さんのために次の手を常に考える必要はあるので(もちろん、自分の知識にもなりますが、常に勉強です)、こういう時間が必ず必要になります。それは仕事ではない・・・という話が昔ありましたが(今もですかね?)、仕事でないのだろうかと思ったりします。
http://blog.with2.net/link.php?602868
人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします
で、なんとなく帰るのは12時ころになります。
他の診療科もいろいろなことをしてらっしゃいます。
どういう評価をされるのかはわかりませんが、正当な評価と対策を練ってもらえるとうれしいような気がします。
勤務医の負担軽減、どうなりますかね。僕は今はまだ頑張れますが、将来家族ができたりしたらどうなるのだろうかと思ったりしています。
それでは、また。