新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

救急隊の救急搬送に影響が出ないことを祈ります

2010-03-09 23:59:08 | 医療

こんばんは

 

すごい雪ですね。

 

3月の関東でこんな大雪が降るとは思いませんでした。

もうすでに10cm近く積っている場所もありますね。

 

 

さて、もうすぐ日も変わりそうなので記事を一つ更新します。

個人的にはこれも気になる記事です。

 

救急搬送で骨折、730万円賠償命令=隊員の過失認める-さいたま地裁

3月9日23時3分配信 時事通信  

 

埼玉県朝霞市で76歳の男性(故人)が救急搬送中に右腕を骨折し、心身の機能が低下する生活不活発病(廃用症候群)になったのは、救急隊員の過失が原因として、男性の妻が消防署を管理する朝霞地区一部事務組合(同市)に計約2870万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁(広沢諭裁判官)は9日、骨折について過失を認め、約730万円の支払いを命じた。 

 

原告側弁護士によると、救急搬送中の隊員の過失を認め、賠償を命じた判決は全国で初という。 判決によると、男性は2006年1月12日、息苦しさを訴え救急車を要請。妻は男性の右手足が脳梗塞(こうそく)でまひしており、「おんぶで搬送してほしい」と頼んだ。しかし、隊員は男性の両腕を自分の首に回して運んだため、男性は肩が回る範囲を超えた動きを強いられ、右腕を骨折した。 

広沢裁判官は隊員の過失について、「妻は男性の症状を伝えており、手足が動く範囲に大きな制限がある可能性を認識し得た」と指摘。別の方法で運ぶことは可能だったとし、骨折に対する過失を認めた。 

原告側は骨折が原因で、男性が生活不活発病を起こし歩行できなくなり、身体機能が著しく低下したと主張したが、判決は因果関係を認めなかった。 

原告側によると、男性は脱水症状と肺炎を併発し、07年2月25日に死亡した。 

原告側弁護士は「救急隊員の行為でも過失が認められたことは評価できるが、廃用症候群に陥ったことが認定されず残念」と話した。 

事務組合管理者の松本武洋和光市長の話 判決文を精査した上で慎重に検討したい。

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実際の状況を見ないと何とも言えませんが、救急搬送には通常ならチーム対応しているでしょうから・・・医療従事者としては「何らかの理由があって一人で運ぶ必要があった」と思われます。また、「息苦しさ」を訴えている人の顔が見えない体制で搬送するのは個人的にはあり得ない話のように思います。

 

「おんぶ」だったらよかったのか・・・?

 

また、廃用性委縮に関して右手足が麻痺して自分で動けないような人が、麻痺している腕が骨折したから廃用性委縮になったとされたら、流石に救急隊員も大変ではないでしょうか?

 

そういう意味でこの患者さんの弁護を担当された弁護士さんに…想像力の欠如を感じてしまうところではあります。

 

救急隊が「現場」の患者さんを助けるために選択したものが、結果が悪かったという理由でこのようなケースになってしまったことは残念だと思います。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

同じ医療を…特に急性期医療をやっているような人間として、この結果に関して悲しく思います。

 

 

さて、明日もいろいろありますので、今日はこのあたりで・・・。

 

それでは、また。

コメント (5)
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