新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

死因究明事業関係;違和感があるし、地域に拠点病院だと失敗だと思う

2012-07-10 22:07:40 | 医療

もう一個だけ書きます

CBからです

死因究明事業全国展開へ各地域に拠点整備を- 運営委で議論

 日本医療安全調査機構の「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」運営委員会が9日に開かれ、死因究明の制度化や、全国展開に向けた課題をめぐって意見が交わされた。この中で、全国展開に向けて、各地域に拠点となる医療機関を整備することが検討された。各都道府県に拠点を置く案も出たが、中心となる医療機関が複数の都道府県をカバーする形で十分との意見が大勢を占めた

 同事業は、厚生労働省の予算措置を受けて同機構が実施しているもので、現在は10都道府県(北海道、宮城、新潟、茨城、東京、愛知、大阪、兵庫、岡山、福岡)内の医療機関で集中的に行われている。

 この日の運営委で、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)教授の黒田誠委員(日本病理学会担当理事)は、「わたしどもの地域であれば、東海4県を何とかすることはさほど苦痛ではない」と述べ、1つの拠点病院で複数の県をカバーすることができると説明。その上で、他県から遺体を受け入れる際には、医師会、大学病院、病院団体などから了解を得なければならないとの認識を示し、了解を得る仕組みづくりが必要だと指摘した。
 山口徹委員(虎の門病院長)も、各都道府県に拠点を整備する必要はないとした上で、「解剖をする体制づくりが、各県で(解剖を)やっていただく時の一番のキーになる」との見解を示した。

 また、山口委員は「病理解剖やAi(死亡時画像診断)が保険適用になれば、病院の取り組みが容易になる」と述べ、保険適用を求めた。

 運営委ではこのほか、解剖ができる医師や、医師と家族の調整役となる「調整看護師」の育成が課題に挙げられた。【高崎慎也】
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これは・・・医療事故調関係なんでしょうけど、どうするのでしょうかね?
 
 
1つの基幹病院で複数の病院を見るというのはその時点で失敗だと思いますが(汗
 
その病院はいろいろな意味で権力が強くなりそうですね(まぁ、この書き方では批判も出てしまうかもしれませんが・・・意味は分かりますよね)
 
僕なら複数の病院でないと意味がないと思うので、本来だったら県に2つずつは必要じゃないのかな~と思います。
 
その前にこの制度自体が必要なのかはわかりませんが・・・・
 

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抗癌剤の副作用救済制度:毒を以て毒を制する薬ゆえに難しいのではないか?

2012-07-10 21:27:46 | 医療

こんばんは

 

今日は今日で一日があっという間に過ぎていきました。

ただ、久々に汗を流そうと仕事の後にジョギングをし、筋トレもしました。筋トレルームで職場の人と一緒になり、鬼のような激しい筋トレを1時間行いました(鬼のようなと書きましたが、まぁきついトレーニングでした)。

 

おかげさまですでに筋肉痛w

採血したらCK高いんだろうな…(汗

 

さて、本日はまずこちらの記事を紹介します。

抗がん剤の副作用被害救済制度で試案- 「検討継続を」とイレッサ弁護団など

 抗がん剤による副作用被害の救済制度を議論してきた厚生労働省の検討会が、制度の創設の提案を見送る可能性が高まる中、薬害イレッサ訴訟の原告団、弁護団などは10日、制度創設に向けた具体的な検討を続けるよう求める要望書と同制度の試案を、小宮山洋子厚労相と同検討会の森嶌昭夫座長あてに提出した。

 同試案では、死亡に至った副作用か、入院が必要な重篤な副作用を救済対象に設定。ただ、抗がん剤が対象外となっている現行の副作用被害救済制度では、入院8日以上か未満かで医療手当の給付額が違うことに考慮し、8日未満の入院は対象から外した。また、医療費・医療手当、遺族一時金・葬祭料の給付額は現行制度の範囲内とした。
 このほか、抗がん剤が適正に使用されたかどうかの判定などについては、承認内容から外れた適応外使用の場合でも、抗がん剤治療におけるエビデンスを踏まえた個別判断で判定されるべきとした。これについて、弁護団などは「現行の抗がん剤治療に不当な委縮をもたらすものとは考え難い」と説明している。
 ただ、試案と共に提出した要望書では、「もとより、よりよい制度設計が可能であれば試案にこだわるものではない」としており、あくまでも制度創設に向けた検討の継続を第一に訴えている。

 同日の記者会見で、東日本訴訟弁護団の阿部哲二事務局長は「検討会を傍聴していて、具体案に基づき、どういう場合にどういう問題があるかという討議がされていないと感じる。この試案を基に、改めて審議を継続するよう強く望んでいる」と述べた。
 また、弁護団の小池純一弁護士は「(検討会の委員で)制度が不要と言う人はいないが、多くの人がマイナスの影響があるのではないかと発言していたが、制度をつくることで、プラスの効果の観点もぜひ考えてほしい」とした。具体的には、副作用を減らすために製薬企業側が副作用情報を積極的に提供することなどによる、がん医療の安全性の向上を挙げた。

 抗がん剤の副作用被害救済制度をめぐっては、6月に開かれた同検討会の前回会合で、今後の議論の方向性について話し合ったものの、「制度設計を急ぐと、かえってがん医療を委縮させてしまう」など、慎重論が相次いだ。13日に開かれる次回会合では、検討会としての取りまとめに向けた検討が行われる予定となっている。【津川一馬】

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さて、抗癌剤の副作用救済問題に関して、僕は個人的には難しいだろうと思います

 

例えばです。白血病の抗癌剤治療は複数の薬を用いて、白血病細胞とともに正常な血液も減らしてしまいます正常な白血球が減少することで感染症、それも重篤な感染症が発生しやすくなります

 

これは副作用(有害事象)ではありますが、副作用のリスクを恐れていては白血病細胞を死滅させることなどできません。

イレッサのように「作用」と全く異なるタイプの有害事象(この場合は間質性肺炎)であれば別ですが、抗癌剤の副作用救済制度…となると印象としては「難しい」と感じます

 

抗癌剤というのは「分子標的薬」のようなもの以外は「毒を持って毒を制する」という側面があり、有害事象が出ないことを想定するのは困難なような気がします。

 

それでもあえて抗癌剤治療による副作用を救済するのだ・・・とすると、どれだけお金がかかるかはわかりませんし、それによって何か言われるようであれば医療は委縮すると思います。

 

文中に承認内容から外れた適応外の使用法でも、エビデンスがあればと書かれています。これは日本の承認が遅いというのもありますが、他にやりようがなくて「欧米で使用されている抗癌剤の組み合わせ」などで使用することを念頭に入れているのだと思います

 

ただ、欧米ではやられていなくても様々な適応外の薬剤というのはあります。

例えば「ハイドレアカプセル」です。これは慢性骨髄性白血病にしか適応はありませんが、血液の数値をコントロールするのにすぐれており一般的に「骨髄増殖性疾患」の血球コントロールに使用されます。

http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4229001M1027_2_12/

あとは僕だけではないと思いますがハイドレアなどを使用して急性骨髄性白血病の緩和ケアなどで血球コントロールをすることもあると思います。

 

いろいろ問題があると思いますが、それでもやる価値があるとすれば副作用の中でも特殊なものに限定した方が良いと思います。例えばこのイレッサの間質性肺炎などですね。

ただ、有害事象というのは起こるかどうかはやってみないとわからないこともあります。

 

例えばベルケイドの使用後の肺障害(間質性肺炎?)のあと、ステロイドを使用したら今度はサイトメガロウイルスが増えてきて何が何だかというようなことも起こったことがある

 

実際に抗癌剤を使用する医師としては…厳しい気がするというのが本音ですね

 

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