新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

アザシチジンで困る・・・

2011-03-07 22:48:10 | 医療

こんばんは。

 

今帰ってきました。

さて、今日は疲れたので、こちらの記事を紹介して、寝ます。というか、昨日当直明けに本を2冊買ってきたので、それを読みたいのもあるのですけど

 

因みに買ってきたのは

「ザ・クイックニング」

「超訳・ブッダの言葉」

の2冊。

まぁ、まずは読んでみたいと思います。

 

論文も早く書きあげたいのですけど・・・ね。

 

 日本新薬 <4516> が急伸。東証1部の上昇率ベストテン入り。厚生労働省の諮問機関の中医協が2日に、同社の骨髄異形成症候群治療剤「ビダーザ」の薬価を承認したことが材料視されている。

 100ミリグラム1瓶4万9993円。米系証券では「想定以上に良い価格である」としている。また、一部では日新薬ではビダーザを11日に発売する見込みで、2015年度に52億円の売上高を見込むと伝えられた。ピーク時年商は200億円程度と見られ、市場予想の150億円前後を上回る。骨髄異形成症候群とは高率で白血病への移行がみられる予後不良の難知性疾患。(編集担当:山田一)

 

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ビダーザ:アザシチジンですが、僕も患者さんに使いたくて待っていた薬です。実際にこの治療薬の登場を待っていた患者さんは何人もいます。薬剤部からも電話を受け(日本新薬のMRさんが、どうも薬剤部に僕の名前も出したらしい)、使用する体制を作っておりますが…この薬はたぶん大きな問題になると思います。

 

別に、この薬はいい薬です。

皮下注、もしくは静注で1日1回7日間投与して、3週間休薬。これを繰り返します。

骨髄異形成症候群

 

この病気は僕は患者さんに

「血液の不良品を作ってしまう病気」:「医学用語では無効造血」

「不良品の一部は白血病細胞」:「医学用語では白血病の前癌病変」

という点をお伝えしていますが、High risk MDS(IPSS)は 0.4年・・・という白血病よりたちが悪いと言わざるを得ない。IPSSのInt-2で1.2年くらい。

 

移植できない年齢だと非常に厳しいですが、それらの予後を大きく改善する可能性があります。

 

しかし、それだけ多くの患者さんに使うことになると、それだけ血液内科の余力はなくなっていきます。さらにこれは良いことではあるのですが、今までは亡くなっていた患者さんが助かるのです。頑張ったら治療法がある患者さんが増える。いいことです。本当にいいことなんです。

 

非常に良いことですが、僕らは自分たちの首をどんどん絞めていくことになります

 

今までは助からなかった人が助かる=患者数が増える。

 

医師の負担はそれだけ大きくなります。

 

僕はこの薬にも期待していて、たぶん新しい薬を使うのが一番早い方(レボレードは後輩が最初に使いましたし、僕はまだ使っていない)ですが、それでも将来病棟が回っていくのか不安です。

 

医者の数を増やしてほしい。

本当に・・・。そう思っています。

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何で良い薬が出ているのに、それを不安に思わなくてはならないのか?

 

不思議に思います。

 

それでは、また。

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再会

2011-03-06 18:41:36 | Blogを書く理由

こんばんは

 

先程、思わぬ人と再会をしました。

今は、アメリカで働いている小児科の先生で、僕も学生時代にお世話に(・・・酒でつぶされたり、無茶をやらされたり・・・w)なった先生です。

 

駅へ向かう道すがら、キャリーバックをひいている人が目に入り、ちょっと似ているな~と思って、ちらちら見ていたら

よぉ、立派になったじゃないか。先生

と、声をかけられました。

 

「帰ってこられたのですか?」

と聞いたら

「一時帰国」

と言っていましたが、どこかで機会があればいろいろ話をうかがいたいと思いました。

 

英語の勉強とかどうやったのだろう・・・。

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さて、今から夕食に行きますが行きつけのお店が一周年記念なので来てくださいと言っていましたので、ちょっと行ってこようかと思っています。

 

では、また。

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救急の現場で・…(本人たちは大まじめだから・・・)

2011-03-06 13:49:40 | Blogを書く理由

こんにちは

 

当直あけで、今帰ってきました。と、言っても15時には戻るのですが・・・

昨日は7人ほど患者さんが受診されたました。初診の担当だったのですが、一部…とても困った感じのことが発生しました。ご本人たちは大まじめだからどうしようもないのですけど・・・。

 

一人目は…ともかく自分は「癌である」というかた。まぁ、もう一個背景に心配ごとがあるみたいですが・・・。

そんなに数日では癌は進行しません。白血病であれば確かに皮膚浸潤という形で、数日で出てくることがありますが、先週受診されている近医の血液検査では・・かなり広範囲に調べてますけど、何も異常がないです」

と言っても

先生。先生はご存知ないかもしれませんが…こういった癌もあるのです・・・・

・・・・・

 

いや、ないって・・・・。そんな1日2日で出て来る癌なんて・・・。というか皮疹・・・と医学的には言うかもしれないが・・・。いや、そもそも訴えているところに細胞浸潤を示す所見はない。

 

説明しても…納得はされませんので

「まずは、近くの病院で検査している検査結果を確認しましょう。ここで心配だけしていても仕方がないですから」

と言って、帰っていただきました。これに1時間・・・・。たぶん、うつ病とかにみられる心気妄想だと思うのですが、一緒に来ていた奥さんにも話をして、とりあえず帰っていただきました。精神科に相談するとすれば、検査結果が出てからでないと本人が納得しませんので。

 

その後もいろいろ患者さんが来ました。

 

実は小児科が受けた患者さんも診ました。小児科の急患さんが緊急入院になって、もう一人は診きれない…という理由でしたが、流石に最初看護師さんから話を聞いたときは「いらっ」っとして言いました。

 

「診きれないなら、受けるな」

 

って。しょうがないので、こちらが二正面作戦をやってました。まぁ、来た患者さんがどちらも思ったよりも軽かったので、どうにかなりましたけど。

 

さらに、救急車がきました。救急隊から連絡があったときに、向こうも困っているようでしたが・・・

「いや、便が黒くなったら胃潰瘍かもしれないから受診するように言われていると。死ぬかもしれないから救急車を呼びなさいと言われた

と、ご高齢の夫婦がおっしゃり・・・・

タッパーに便(黒色便)を入れて持ってこられました・・・

 

因みにVitalは問題なし。貧血はあるけど、どちらかというと話を聞く限りでは便秘がちで…80以上ということを考えると消化管悪性腫瘍を検索した方が・・・・

それを説明して、今日は帰るように…と言っても、患者さん本人ではなくて奥さんの方が

「けど、私の同級生だった医師(80以上らしい)が死ぬかもしれないって言ったんですよ!

 

・・・・・・。

これまた1時間かけて説明して・…ようやく帰宅。

 

その間にも病棟も動きがあるし・・・。

 

極めつけは夜中に意識レベルと呼吸状態が悪い高齢のインフルエンザ。ラピアクタ(点滴のインフルエンザの薬)がないということで、他院から転院先を探しているという。20件以上当たったがまだ見つからないと言われて・・・・

「患者さんのことだけ考えたら受けるべきだが、まずラピアクタが常備されているかの確認と陰圧室などの整備ができるかだな」

と思い、調整開始。

調整して、

「さぁやってこい。ただ、この後どうするんだろう?うちの大学で初診で受けた後、関連診療科が受け入れるかが不明だから・…どうなる事やら

まぁ、4月からの当直体制変更に関して、変わる前に問題点を投げかけられるから、いいかな・・・。」

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なかのひと 

と、向こうの病院からの連絡(救急隊)を待っていたら、受け入れ先が見つかったということで結局来ませんでした。まぁ、それはそれで良いのですけど。

 

と、まぁ結局バタバタし続けた後で…昼食の後、病棟に戻ります。病棟に戻る前に、クリーニングも確保しないと・・・・。

では、また。

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医師に患者を見捨てるように強要している国「日本」・・・かな?

2011-03-03 23:30:27 | 医療

こんばんは

 

今、帰ってきました。

今日は先週できなかった(入院中でw)外来の日でした。本当にこの3年間、木曜日は休みにしないように頑張っていたので病院が休みの日以外は外来をしていました。

つまり、木曜日は仕事、休みを取るとしても最大で金曜日~水曜日までと・・・。

 

もちろん、3年前(大学に戻った初年度)は1.5日しか休みませんでしたけどねw

 

最近は無理しないように…比較的休んでいるほうですが、それでも患者さんや事務の方、その他の方々に「無理が体の弱いところに出てきている」などと言われる始末。

 

むぅ・・・・

 

それはさておき、今日はこちらの記事。

週に60時間労働が平均と言われると、すごく違和感があるのですけど。血液内科って人手不足というのも理由だとは思いますが(全国下から3番目の血液内科医数=埼玉県…人口多いのにねw)、話聞いてる限りでは100時間くらいは普通にみんな働いていますよ。

 

 中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は3月2日の総会で、2012年度の診療報酬改定に向けた優先議題の一つとしている勤務医の負担軽減に関する議論に入った。この日は、当直明けも外来診療に携わるといった長時間の連続勤務に焦点を当てて意見を交わし、今後、勤務実態や対応策の導入状況などを調査する方針で一致した。ただ、支払側委員からは「医師不足の中では、診療報酬による誘導にも限界がある」と、改定で負担軽減を図る効果を疑問視する意見も出された。

 厚生労働省が示した資料(08年度「病院勤務医の負担軽減の実態調査」)によると、勤務医の平均実勤務時間は週61.3時間で、平均当直回数は月2.78回。特に、救急科や産婦人科、小児科、外科で長時間勤務や当直回数の多さが目立つ。日常業務のうち当直に対する医師の負担感は大きく、多くが当直翌日に仮眠もできないと回答している。
 
 これらを踏まえ、厚労省は、長時間連続勤務を改善するための病院の取り組み状況などを調査することを提案。さらに、当直明け勤務の免除や交代制勤務に対する評価を論点として示した。また、病院の取り組み例として、「主治医制」で当直や深夜勤明けの休息を確保する方法と、勤務交代に伴い主治医も代わる「グループ担当医制」の方法を紹介した。

 委員からは、勤務状況を含めた実態調査をできるだけ多くの医療機関を対象に行うべきだとの声が上がった。ただ、交代制勤務などに対して加算などを設けることについては、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が「たくさんの医師が必要で、どれだけの病院ができているか。こういうものの評価は、極めて限られた評価で終わってしまう」と懸念を示し、多くの病院で取り組めるという視点からの検討を求めた。また、嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)は、「交代制にすれば、医師が足りなくなる。そうすれば、患者のアクセスを制限しなくてはならなくなることも覚悟して提案しているのか」とただした。
 
 一方、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「長時間連続勤務になる理由は、簡単に言えば、医師の数が少ないからに尽きる」と指摘。「当直明け勤務免除や交代制勤務への評価に限定して何ができるのか、非常に疑問だ。中医協として診療報酬でできることは、むしろ少ないのではないか」と述べた。これに対し、坂本すが専門委員(日本看護協会副会長)は、「長時間勤務で医師がどんな薬を出したかも覚えていないといった医療事故の例もあった」と、医療安全に及ぼすリスクに言及。「中医協でどう誘導するかということはあるが、長時間勤務は何らかの形で軽減できないことはないと思う」と対策の必要性を強調した。
 次回の総会では、チーム医療の推進による負担軽減や、医師以外の病院スタッフの負担などについて検討する予定。
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内科…とひとくくりにされるため、血液内科の勤務状況って知られていませんが…結構厳しいですよ。
某大学の先生は教授の次(w)の立場でも直持ちで10名以上で夜中も呼びだされるといっていましたし・・・。
僕らの年齢層でも、たぶん5年やったら力尽きそうな(w)
長時間労働をどうにかする…ということは、記事にも書かれていますがアクセス制限をするしかないわけです
血液疾患は患者数の増加に比べて、医師数は減少傾向ですから…アクセス制限すれば…今なら治療で来ている患者さんでも「診療不能」という話になります
そんなことできるわけがないから…頑張っているわけですが…。
緩和ケアの内服抗癌剤などもどこまで頑張るか…という話になります。
人手がいて・・・ベッド数があって…という状況なら対応もできると思いますが、内服抗癌剤を用いた緩和ケアをしている患者さんはいつか抑えきれなくなって入院されます。
急性白血病でも1年半外来で頑張れた方々もいますし、リンパ腫でも2年以上維持(FLではなくてDLBCLで)している患者さんもいます。しかし、多くの方々は数カ月でコントロールができなくなってきます。
そういうこともできなくなるかもしれません。
医療政策に関して、これ以上は人手不足、医師不足の限界になってきていると思います。おそらく患者さんの不利益が大きくなり始めたころに慌てだすのでしょうけど、そうなったときは本当にTriageせざるを得なくなります
それは医師にとっても負担が大きいのです(人が助けられる人を見放すなど・・・)。
助けられる可能性が十分にあるのに、それを見捨てるようなことをするのは「医師」として働いている人間にとっては、自分の存在価値を否定するようなものです
それを国が求めようとしている。
その限界ラインに達しつつあることは、現場の厳しい状況にいる医師が分かっている・・・。そう感じています。
本当にギリギリのラインで踏みとどまっています。
コメントに「リンパ腫の抗癌剤などは市民病院に逆紹介」と頂きましたが、うちの大学はそのようなことをしないと、もはや患者さんを診きれないと判断して、オンコロジークリニックのようなことをお願いしているわけですが・・・。これでも限界が来たら…どうなるのか。
これが医療現場だと言いたい気持ちです。
それでは、また。
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