「とおい」には、こんな難しい字もありました。
もとの字のほうは、かすんでよく見えない意味を含んでいるようです。
これは「あなどる」という字でもあって、とおい=あなどる、いやいや地球の裏側のできごとでも、あなどってはいかんぞということでしょうか。
しんにょうのない文字は風貌の貌で、これも異体字関係にあります。
この字には、おぼろげにつかめたありさまという意味もあって、近くに寄ってはっきり見る、くっきりした様子とは違うようです。
「ページ」にあてているつくりの部分は、人間の頭を大きく書いて小さめの足をそえた象形文字といわれています。
貌の字の意味を知ってみると、土門拳が「風貌」であらわそうとしたものの何かが、かすかに見えてくるような気もします。
話がかすんできたところで、しんにょうへの侵入はこの辺で終わりにしましょう。