離合集散、この言葉は、対義動詞を組み合わせ、それをまたつなげることで、整理のつかない状態に至るまでの動きをつかまえて、世の中に起こることがらの様子をうまく言い表している。
文字を見れば辞書を引くまでもないので、この熟語を引いてみるのは初めてだった。
見れば、離合は「離れることと合うこと」、集散は「集まることと散ること」と、意味を説くでもなく読んでいるだけの、まじめな書き方が滑稽である。
国語の辞書の説明には意味を持たせず、熟語の意味は使う者にゆだねようという考えなのか。
そうしておかないと、辞書にはこう書いてあると、かたくなに熟語の意味を狭めながら、自説の正しさを主張する朴念仁が増えるおそれがあるのかもしれない。
ところで、離合集散の四字を、意味の近い二字ずつに分けてみると、離散、合集となる。
離散からは共同体の崩壊、合集からは合衆国があたまに浮かんでくる。
散らばっていく動きと、集っていく動き、世界各国の動きもそのどちらかにあるような気がするのだ。
発展途上と言われるアフリカには、知らないうちにたくさんの国ができている。
EUは、集まりかけてみたものの、どこか危なげである。
散らばるのが発展途上の現象であるとすれば、日本はどうなのか。
ある地方だけをまるで他国のように扱い、あるいは地方主権などと体のよい言葉でほったらかしにする。
それだけを見ると、まだ発展途上ではないかと思えるのだが、突然に位相が反転して、衰退途上にならなければよいと願うばかりである。
帝国と経済発展: 発展途上世界の興亡 (サピエンティア) | |
尹 春志,尹 春志,Alice H. Amsden,原田 太津男 | |
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