トリムは、まっすぐに整える元来の意味から、整えられた結果がだいじである作業です。
船や飛行機で、乗客や積み荷のバランスをよくするのもトリムと呼ばれるようですが、今年の春、K国船がひっくり返ったのも、失敗か、気にかけなかったか、いずれにしてもトリムの失敗でしょう。
ものごとはおよそ、する気がなくてもし過ぎてもよくありませんが、トリミングが過ぎると、元に戻すことはできません。
髪の毛や犬の毛は、失敗してもまた伸びてきますから、次にまた失敗しないように工夫すれば、そのあとしばらくの目障りですみますが、この世に一回限りのことでトリミングに失敗すると、その結果がいつまでも残ります。
先日TVで武原はんの地唄舞「鐘ヶ岬」を放送していました。
それを撮影したとき、カメラマンの眼は、舞踊の撮影ではなく、ヘボドラマの撮影と同じ働きをしていたようです。
美しく舞う姿態全体が背景の中で流れるように動くところをとらえきれずに、顔の表情や手の動きをアップでとらえるのに腐心して、肝心の足が切れて見えないのです。
舞台や風景は、よほどしっかりしたトリムの眼をもたないと、いくら新鋭の装置を使っても、記録をやり損ない、再び観ることのできない絶対の機会を逃すことになります。
公共放送のカメラマンは、三脚の上に胡坐をかいているわけにはいかないのです。
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