その壺に入っているインキをつけたペンで書いたものは、世間の空気で濁った目には見えません。
中のインキは、見えないインキ、隠記と名づけられた魔法のインキです。
いま、普通の新聞や雑誌の多くは、衝撃的な表現で、何か一つの考えに共鳴しやすくなるように書かれています。
そうかと思えば、できるだけ刺激の少ないやわらかな、何かを包み込むような表現で書かれているものもあります。
共鳴を強く求めていることも、やんわり包んだようにみせていることも、この表現様式は、地球上のあるところに鎮座しているごく少数の人々のなぐさみごとでしかありません。
皮肉なことに、記述の衝撃度が強いほど、あるいはやわらか表現が丁寧であるほど、底の意図はバレバレなものになっています。
まさに、見えるインキで印刷されたものは、徳の堕つること深刻なりという状態です。
あからさまに書かれたものが、徳を離れて得に偏って行くのであれば、意識の核をあえて隠す記述法によって、読みとる人が核心を自らの手で捉えられるようになりはしないかと、考え出されたのがこの隠記壷なのです。
どうです、一つお買い求めになって、真っすぐな気持ちを書いてごらんになりませんか。
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