「あらめの配給だよ」と呼び声が聞こえると、バケツを持った主婦たちがぞろぞろ連れだって配給所へ向かう。
バケツ一杯ではない適当な分量のあらめを入れてもらって帰ってくる。
わかめと違い、ごわごわと堅そうなその海藻で、何日間かは米の代わりにして食いつなげと、直接には言われなくても、そのあとしばらくは何も来なかったから、そういうことなのだった。
あらめをゆでていて目を離している間に、炭のように焦がしてしまったおばさんがいた。
「あーら、焼きあらめになっちゃった」このぐらい呑気でなければ、敗戦直後の厳しい食糧不足のもとでは生き延びられなかった。
炭といえばおよそ真っ黒なものを思い浮かべるが、カーボンには、ブルーカーボン、グリーンカーボンと名付けられた部類のものがあるという。
ブルーカーボンは、海洋生態系に吸収され固定蓄積される炭素で、グリーンカーボンは、陸上の植物によって森林などに蓄積される炭素の呼称とされている。
海のブルーカーボンの研究は日本ではまだこれからだそうで、その技術研究組合が認可されたというニュースがあった。
この研究が、海に生成されるものなのに経産省の水産庁系でもなく、CO2 吸収量の算定や吸収量の拡大技術を研究するとされながら環境省でもなく、これが国土交通省扱いであるということがどうもよくわからない。
しかも、生成されるブルーカーボンの利用についてではなく、定量的評価、技術開発及び資金メカニズムの導入等の試験研究が目的と聞いては、よくある研究費獲得のための組合設立ではないのかと勘ぐりたくなる。
これではブルーカーボンというよりグレーカーボンに近いのではないかという気がしている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます